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O-01 主膵管内に10 ㎜大の結節を呈したIgG4陽性形質細胞浸潤を伴う胃型IPMA の1例

◯川本 裕介1)、本田 五郎1)、菊山 正隆2)、大目 祐介1)
樋口 亮太1)、千葉 和朗3)、仲程 純3)、堀口 慎一郎4)、古川 徹5)
1)東京女子医科大学 消化器・一般外科、2)東京女子医科大学 消化器内科、3)がん感染症センター都立駒込病院 消化器内科、4)がん感染症センター都立駒込病院 病理科、5)東北大学医学系研究科 病態病理学分野


 症例は91歳、女性。腹痛の精査で行った腹部超音波検査で、主膵管の拡張を指摘された。EUS、MRIで主膵管の拡張、蛇行、分枝膵管の拡張を認めたが、腫瘤ははっきりせず、EUSで認めた低エコー域にFNAを行ったが異型細胞は検出されなかったため、経過観察の方針としていた。10か月後にEUSを再検すると、主膵管内に充満する10 ㎜大の低エコー腫瘤が出現し、MRIで主膵管内にT2WIで軽度高信号の腫瘤として描出された。造影CTでも主膵管内に遷延性に造影される腫瘤として確認された。EUS-FNAを行ったところatypical cellが検出されたが、明らかな悪性所見は検出できなかった。病理組織学的に確定診断には至らなかったが、増大傾向を示す10 ㎜を超える主膵管内の結節であり、malignant potentialが高いと考え、腹腔鏡下膵体尾部切除を行った。切除標本の割面の肉眼像で、10 ㎜大に拡張した主膵管の内腔に充満する腫瘍を認めた。病理組織学的に、腫瘍は幽門腺様の腺管増生を含む高円柱上皮の増生を認めたが、異型は軽度で、IPMA、gastric type、pyloric gland variantと診断された。さらに、腫瘍は形質細胞主体の炎症性細胞滲出を伴う間質の拡大を認め、間質部分の形質細胞の多くはIgG4陽性であった。
【検討項目】 術前の画像からどこまで術後診断に迫ることが可能であったか、IgG4陽性の形質細胞と腫瘍の増大の関連、またそれを事前に予想することは可能であったかを討議したい。