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O-03 Intraductal oncocytic papillary neoplasm(IOPN)の1例

◯仲程 純1)、千葉 和朗1)、田畑 宏樹1)、堀口 慎一郎2)
鈴木 瑞佳3)、神澤 輝美1)
1)がん・感染症センター東京都立駒込病院、2)がん・感染症センター東京都立駒込病院 病理科、3)がん・感染症センター東京都立駒込病院 放射線科


 症例は74歳女性。膵嚢胞を指摘され紹介受診した。MRIでは膵頭部から膵尾部にかけて15 ㎜までの多発する膵嚢胞を認め、主膵管は全体的に8 ㎜大に拡張していた。膵体部の主膵管内にT1, T2強調画像でともにiso intensityの10 ㎜大の腫瘤を認め、DWIで拡散制限を伴っていた。超音波内視鏡検査(EUS)では膵体部の主膵管内に陥入する腫瘤を認め、腫瘍の主座が膵管内か、または膵実質内病変の主膵管内進展病変かの鑑別が困難であった。腹部造影CTでは膵体部の腫瘤病変は周囲膵実質と同様に造影され病変として同定は困難であった。ERCP時の十二指腸乳頭開口部は開大し粘液排出を認めた。膵管造影では膵体部の主膵管内に表面不整な腫瘤様の透亮像を認めた。膵充実性腫瘤からEUS-FNA施行し、腺癌の診断が得られた。IPMN由来癌を考え、膵体尾部切除術を施行した。病理診断では乳頭状に増生し好酸性の胞体をもつ細胞からなる膵管内腫瘍で、免疫染色ではMUC5AC, MUC6は陽性、MUC1, HepPar-1は部分的陽性で、Intraductal oncocytic papillary neoplasm(IOPN)と診断した。切除標本病理組織像と術前画像との比較で膵実質内の腫瘤と判断しFNAを施行した腫瘤は拡張した分枝膵管内に充満した腫瘍であった。IOPNは消化器系WHO分類2010まではIPMNの好酸性亜型として位置付けられ、IPMNの組織亜型とされていたが、WHO2019では独立した疾患群として区分された。術前診断できなかった比較的稀なIOPNを経験したので報告する。