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【症例】 80歳代、女性、胆嚢腫瘍疑いで紹介。造影CTで胆嚢のびまん性の壁肥厚と底部に遅延性に増強される結節、リンパ節腫脹(肝門部、下大静脈背側)、肝S4に20 ㎜大の早期濃染とwash outを伴う領域を認めた。MRIではいずれの病変も拡散制限を伴っている他、膵体尾部にも拡散制限を伴う複数の結節を認めた。EUSでは胆嚢底部に広範なⅡa様隆起を伴う不整な広基性病変があり、外側高エコーは保たれていた。また、膵体尾部に10 ㎜前後の境界明瞭な低エコー腫瘤が散見された。胆嚢癌を最も疑ったが、胆嚢以外の病変は転移として非典型的であり、悪性リンパ腫など他疾患の合併も鑑別として考えられた。肝門部リンパ節、膵腫瘍に対してEUS-FNA、肝腫瘍に対して肝生検を施行したが、いずれも悪性腫瘍は否定的であり、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。病理所見では胆嚢粘膜面全体にびまん性に2 ㎜程度の褐色の小結節、底部及び体部に9×12 ㎜、16×9 ㎜の結節を認めた。HE染色では粘膜固有層や粘膜下層にリンパ濾胞を多数認めた。特殊染色では濾胞部はCD10陽性、BCL2陰性であり、リンパ濾胞性胆嚢炎と診断した。また、底部結節の粘膜下層に花筵状線維化と10/HPF以上のIgG4陽性細胞を認めていた。
【検討項目】 術前の画像所見から胆嚢癌とリンパ濾胞性胆嚢炎の鑑別が可能であったか。また、胆嚢結節の花筵状線維化及びIgG4陽性についての病的意義や肝臓及び膵病変との関連性についてご検討お願いいたします。
O-06 胆嚢癌との鑑別に苦慮したリンパ濾胞性胆嚢炎の一例
◯土屋 直壮1)、北口 恭規1)、古賀 毅彦1)、石田 祐介1)、
濱田 義浩2)、吉満 研吾3)、平井 郁仁1)
1)福岡大学医学部 消化器内科学講座、2)福岡大学医学部 病理学講座、3)福岡大学医学部 放射線医学教室
【症例】 80歳代、女性、胆嚢腫瘍疑いで紹介。造影CTで胆嚢のびまん性の壁肥厚と底部に遅延性に増強される結節、リンパ節腫脹(肝門部、下大静脈背側)、肝S4に20 ㎜大の早期濃染とwash outを伴う領域を認めた。MRIではいずれの病変も拡散制限を伴っている他、膵体尾部にも拡散制限を伴う複数の結節を認めた。EUSでは胆嚢底部に広範なⅡa様隆起を伴う不整な広基性病変があり、外側高エコーは保たれていた。また、膵体尾部に10 ㎜前後の境界明瞭な低エコー腫瘤が散見された。胆嚢癌を最も疑ったが、胆嚢以外の病変は転移として非典型的であり、悪性リンパ腫など他疾患の合併も鑑別として考えられた。肝門部リンパ節、膵腫瘍に対してEUS-FNA、肝腫瘍に対して肝生検を施行したが、いずれも悪性腫瘍は否定的であり、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。病理所見では胆嚢粘膜面全体にびまん性に2 ㎜程度の褐色の小結節、底部及び体部に9×12 ㎜、16×9 ㎜の結節を認めた。HE染色では粘膜固有層や粘膜下層にリンパ濾胞を多数認めた。特殊染色では濾胞部はCD10陽性、BCL2陰性であり、リンパ濾胞性胆嚢炎と診断した。また、底部結節の粘膜下層に花筵状線維化と10/HPF以上のIgG4陽性細胞を認めていた。
【検討項目】 術前の画像所見から胆嚢癌とリンパ濾胞性胆嚢炎の鑑別が可能であったか。また、胆嚢結節の花筵状線維化及びIgG4陽性についての病的意義や肝臓及び膵病変との関連性についてご検討お願いいたします。
