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PS-1(O-09) 繰り返す膵炎を契機にIPMC を疑い手術し、浸潤性膵癌の病理診断であった一例

◯中島 悠貴1)、岩崎 栄典1)、茅島 敦人1)、川崎 慎太郎2)
堀部 昌靖1)、中野 容3)、北郷 実3)、眞杉 洋平4)、金井 隆典1)
1)慶応義塾大学医学部 消化器内科、2)慶応義塾大学医学部 内視鏡センター、3)慶応義塾大学医学部 一般・消化器外科、4)慶応義塾大学医学部 病理学教室


【症例】 73歳、女性。
【現病歴】 4年前より他院でIPMNと診断されフォローされていた。1年前より急性膵炎を繰り返し前医に入院し、その都度精査が行われた。ERCPでは副乳頭が開大し粘稠度の高い膵液が流出しており、副乳頭アプローチで膵管ステント2本留置し膵炎予防するとともに、膵液吸引細胞診を行い異型細胞が認められIPMAの診断となり、不完全型膵管癒合不全に混合型IPMNが重なったことが膵炎発症の原因と考えられた。その後手術かつ膵炎コントロール含め精査加療目的に当院へ紹介受診した。EUSでは明らかな腫瘤は認めず粗造な実質と明らかには悪性は疑われないIPMNが認められるのみであり、その他各種画像検査でも悪性所見は示唆されなかった。ERCPを施行し膵管狭窄部位に対して擦過細胞診を行った結果、粘液を有する核腫大した腺細胞集塊が認められ低異型度腫瘍が疑われ、IPMCのcTisN0M0 cStage0の臨床診断として亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が施行された。結果、4 ㎝大まで広がる、中~高分化型腺癌pT3N1bM0 pStageIIBであった。現在術後化学療法を行っている。
【考察】 繰り返す膵炎を契機にIPMCを疑い手術し、想定よりかなり広範囲の浸潤性膵癌であった一例を経験した。術前の各種精査で腫瘍のサイズや質的診断に苦慮した一例であり、今回我々は術前検査所見と術後病理画像を比較検討し考察した。