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51歳女性。心窩部痛を主訴に20XX年Y月近医を受診した。血清Amylase高値とCTにて主膵管拡張を指摘され、急性膵炎疑いにて前医へ紹介され、施行された造影CT/MRIで膵体部膵管狭窄及び尾側膵管拡張が認められたが、明らかな腫瘤性病変は指摘されなかった。超音波内視鏡検査(EUS)及びERCPでも同様の所見を認め、膵炎の原因は微小膵癌による随伴性膵炎が考えられた。外科的切除の方針を提示され、セカンドオピニオン目的に当院を紹介され受診した。再検したEUS/ERCPでも同様の所見で、膵液細胞診はclassⅢであった。上皮内癌の可能性が否定できないため、20XX+1年Z月に膵体尾部切除術を施行した。病理標本では膵体部に5 ㎜大の腫瘍性病変を認め、その周囲は高度の線維化を伴っていた。免疫染色では、chromogranin(+)、Synaptophysin(+)、CD56(+)、INSM1(+)、CKAE1/AE3(+)であった。HE染色では核分裂像は認めず、Ki-67陽性率は1%未満であった。最終病理診断は、Neuroendocrine tumor(NET)G1の診断に至った。またホルモンマーカーでSerotonin(+)であった。近年、Serotonin(+)のNETで線維化を来たす報告が散見されるが、事前に腫瘍の同定が不能であった微小病変で高度の線維化による膵管狭窄を来すことは稀と考え報告する。
【検討したいポイント】 本症例は多血性腫瘍の様相を示さず、また線維化が高度であったが遅延性濃染も示さなかった。画像診断でNETを疑えるかどうか、あるいは造影態度について病理学に説明がつくかどうか議論頂きたい。
PS-2(O-10) 高度の線維化を伴ったNeuroendocrine tumor の1例
◯嘉島 賢1)、山宮 知1)、水口 貴仁1)、手塚 勇吾1)、高岡 身奈2)、
石田 和之2)、朴 景華3)、青木 琢3)、窪田 敬一3)、入澤 篤志1)
1)獨協医科大学医学部 内科学(消化器)講座、2)獨協医科大学医学部 病理診断科、3)獨協医科大学医学部 外科学(肝・胆・膵)講座
51歳女性。心窩部痛を主訴に20XX年Y月近医を受診した。血清Amylase高値とCTにて主膵管拡張を指摘され、急性膵炎疑いにて前医へ紹介され、施行された造影CT/MRIで膵体部膵管狭窄及び尾側膵管拡張が認められたが、明らかな腫瘤性病変は指摘されなかった。超音波内視鏡検査(EUS)及びERCPでも同様の所見を認め、膵炎の原因は微小膵癌による随伴性膵炎が考えられた。外科的切除の方針を提示され、セカンドオピニオン目的に当院を紹介され受診した。再検したEUS/ERCPでも同様の所見で、膵液細胞診はclassⅢであった。上皮内癌の可能性が否定できないため、20XX+1年Z月に膵体尾部切除術を施行した。病理標本では膵体部に5 ㎜大の腫瘍性病変を認め、その周囲は高度の線維化を伴っていた。免疫染色では、chromogranin(+)、Synaptophysin(+)、CD56(+)、INSM1(+)、CKAE1/AE3(+)であった。HE染色では核分裂像は認めず、Ki-67陽性率は1%未満であった。最終病理診断は、Neuroendocrine tumor(NET)G1の診断に至った。またホルモンマーカーでSerotonin(+)であった。近年、Serotonin(+)のNETで線維化を来たす報告が散見されるが、事前に腫瘍の同定が不能であった微小病変で高度の線維化による膵管狭窄を来すことは稀と考え報告する。
【検討したいポイント】 本症例は多血性腫瘍の様相を示さず、また線維化が高度であったが遅延性濃染も示さなかった。画像診断でNETを疑えるかどうか、あるいは造影態度について病理学に説明がつくかどうか議論頂きたい。
