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PS-5(O-13) 広範に進展した胆嚢内乳頭状腫瘍の1例

◯古川 大1)、石井 康隆1)、芹川 正浩1)、壷井 智史1)、中村 真也1)
平野 哲朗1)、池本 珠莉1)、有廣 光司2)、上村 健一郎3)、岡 志郎1)
1)広島大学病院 消化器・代謝内科、2)広島大学病院 病理診断科、3)広島大学病院 消化器外科


 症例は78歳、女性。発熱を主訴に当科外来を受診し、血液検査で肝胆道系酵素上昇と腫瘍マーカー上昇を認め急性胆管炎の診断で当科入院となった。CTでは両側肝内胆管の拡張と胆嚢頚部から三管合流部にかけて造影効果を伴う充実性腫瘤を認めた。MRIでは腫瘤はT1WIで低信号、T2WIで高信号、DWIで淡い高信号を示し、MRCPでは胆嚢管分岐部で蟹爪状の陰影欠損を認めた。EUSでは胆嚢内は胆泥が充満し、胆嚢管から一部総胆管内に連続する低エコー腫瘤を認め、造影EUSでは腫瘤に造影効果を認めた。ERCP時の胆管造影では胆嚢管分岐部付近の総胆管は狭窄しており、IDUSでは胆嚢管分岐部から一部総胆管にかけて内腔を充満する低エコー腫瘤を認めたが、明らかな胆管外層高エコー層の断裂は認めなかった。POCSでは胆嚢管より突出する不整な乳頭状腫瘤を認めたが、周囲の胆管粘膜は正常であった。胆汁細胞診、胆管生検で腺癌を検出し、胆嚢管癌(T1N0M0:Stage IA相当)と診断し、胆嚢床切除、肝外胆管切除を施行した。術後病理所見では胆嚢管の粘膜上皮内に限局して乳頭状に増殖する腫瘍性病変と、一部粘膜固有層内に小型策状に示す微小浸潤癌を認めた。また総胆管に上皮内進展を認めた。腫瘍内に乳頭状腺腫成分は認めず、浸潤性胆管内乳頭状腫瘍(胆膵型)と診断した。
【討論いただきたい点】 診断の妥当性と腫瘍の進展度診断についてご討議いただきたい。