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【はじめに】 血管周囲類上皮細胞腫瘍(Perivascular epithelioid cell tumor;PEComa)は組織学的・免疫組織化学的に共通の特徴を持つ間葉系腫瘍の総称で、腎・肝の血管筋脂肪腫などが含まれる。膵臓原発のPEComaは非常に稀であり、さらに特徴的な経過を示した1例を経験したので報告する。
【症例】 23歳、女性。心窩部から背部にかけての痛みの精査で膵腫瘍を指摘された。CTで膵頭部に3.5 ㎝大、造影の軽度増強効果のある内部不均一な腫瘤を認めた。腫瘍により門脈は圧排、閉塞しており、側副血行路が発達していた。EUSでは辺縁明瞭な高エコー腫瘍として描出された。充実性偽乳頭状腫瘍と診断し、手術を予定したが、経過中に明らかな縮小を認めたため経過観察の方針とした。しかし、2ヵ月後には再増大を示した。症状の増悪もあり悪性の可能性も考え、切除の方針とした。膵頭十二指腸切除、門脈合併切除再建術を施行した。切除標本で膵頭部実質を圧排する3.9 ㎝大の充実性腫瘤を認めた。病理組織学的検査で好酸性細胞質に富む上皮様異形細胞の充実性増殖を認め、核異型が強く明瞭な核小体を有していた。免疫染色でメラノサイト系マーカー(HMB45)が陽性、筋系マーカーは陰性なもののTFE3発現を部分的に認めることからPEComaと診断された。核異型が強く、腫瘍内の壊死や静脈浸潤を伴うことから悪性に分類された。現在術後11カ月再発無く経過している。
【考察】 術前に縮小、再増大を示し診断に難渋した症例であり、文献的考察を含め報告する。
O-17 術前に縮小、再増大を示した膵臓原発血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComa)の1例
○油座 築1)、藪下 泰宏1)、高橋 智昭1)、三宅 謙太郎1)、澤田 雄1)、本間 祐樹1)、松山 隆生1)、加藤 生真2)、山中 正二2)、遠藤 格1)
1)横浜市立大学 消化器・腫瘍外科学、2)横浜市立大学 病理診断科・病理部
【はじめに】 血管周囲類上皮細胞腫瘍(Perivascular epithelioid cell tumor;PEComa)は組織学的・免疫組織化学的に共通の特徴を持つ間葉系腫瘍の総称で、腎・肝の血管筋脂肪腫などが含まれる。膵臓原発のPEComaは非常に稀であり、さらに特徴的な経過を示した1例を経験したので報告する。
【症例】 23歳、女性。心窩部から背部にかけての痛みの精査で膵腫瘍を指摘された。CTで膵頭部に3.5 ㎝大、造影の軽度増強効果のある内部不均一な腫瘤を認めた。腫瘍により門脈は圧排、閉塞しており、側副血行路が発達していた。EUSでは辺縁明瞭な高エコー腫瘍として描出された。充実性偽乳頭状腫瘍と診断し、手術を予定したが、経過中に明らかな縮小を認めたため経過観察の方針とした。しかし、2ヵ月後には再増大を示した。症状の増悪もあり悪性の可能性も考え、切除の方針とした。膵頭十二指腸切除、門脈合併切除再建術を施行した。切除標本で膵頭部実質を圧排する3.9 ㎝大の充実性腫瘤を認めた。病理組織学的検査で好酸性細胞質に富む上皮様異形細胞の充実性増殖を認め、核異型が強く明瞭な核小体を有していた。免疫染色でメラノサイト系マーカー(HMB45)が陽性、筋系マーカーは陰性なもののTFE3発現を部分的に認めることからPEComaと診断された。核異型が強く、腫瘍内の壊死や静脈浸潤を伴うことから悪性に分類された。現在術後11カ月再発無く経過している。
【考察】 術前に縮小、再増大を示し診断に難渋した症例であり、文献的考察を含め報告する。
