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症例は79才男性。右上腹部痛にて前医を受診、腹部CTで膵頭部腫瘤を指摘され当センター紹介となった。血液検査では膵酵素や腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。USでは膵頭部に45 ㎜大の類円形の低エコー腫瘤を認め、造影CTでは不均一な遅延濃染を呈した。MRIのT1/T2/拡散強調画像ではそれぞれ低信号、淡い高信号、著明な高信号を示し、MRCPでは膵管に口径不同を認めなかったが、下部胆管の狭窄および腫瘤部に一致して淡い高信号域を散見した。EUSでは、膵頭部に輪郭不整で内部に無エコー域を含む低エコー腫瘤を認め、ソナゾイド造影で造影効果を認めた。EUS-FNAでは多数のリンパ球・組織球を検出したのみで異型細胞は認めなかった。充実性膵腫瘍を疑うも確証が得られず、後日再検査の方針としたが、EUS-FNA施行3週間後に右上腹部痛が再燃し、CTにて腫瘤の急激な増大(75 ㎜大)および腫瘤内出血を認めた。そこで、動脈塞栓術施行後に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。摘出標本の肉眼では膵頭部に80 ㎜大の出血を伴う灰褐色調の腫瘤を認め、病理組織学的検査では、奇怪核や多核を有し多形性を示す紡錘形の異型細胞が増殖し、免疫染色ではMDM2, CDK4陽性であることから脱分化型脂肪肉腫と診断した。
O-18 術前診断困難であった膵頭部の脱分化型脂肪肉腫の一例
○岩野 光佑1)、金 俊文1)、林 毅1)、高橋 邦幸1)、高田 実2)、
安保 義恭2)、太田 聡3)、篠原 敏也3)、櫻井 康雄4)、潟沼 朗生1)
1)手稲渓仁会病院 消化器病センター、2)手稲渓仁会病院 外科、3)手稲渓仁会病院 病理診断科、4)手稲渓仁会病院 放射線診断科
症例は79才男性。右上腹部痛にて前医を受診、腹部CTで膵頭部腫瘤を指摘され当センター紹介となった。血液検査では膵酵素や腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。USでは膵頭部に45 ㎜大の類円形の低エコー腫瘤を認め、造影CTでは不均一な遅延濃染を呈した。MRIのT1/T2/拡散強調画像ではそれぞれ低信号、淡い高信号、著明な高信号を示し、MRCPでは膵管に口径不同を認めなかったが、下部胆管の狭窄および腫瘤部に一致して淡い高信号域を散見した。EUSでは、膵頭部に輪郭不整で内部に無エコー域を含む低エコー腫瘤を認め、ソナゾイド造影で造影効果を認めた。EUS-FNAでは多数のリンパ球・組織球を検出したのみで異型細胞は認めなかった。充実性膵腫瘍を疑うも確証が得られず、後日再検査の方針としたが、EUS-FNA施行3週間後に右上腹部痛が再燃し、CTにて腫瘤の急激な増大(75 ㎜大)および腫瘤内出血を認めた。そこで、動脈塞栓術施行後に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。摘出標本の肉眼では膵頭部に80 ㎜大の出血を伴う灰褐色調の腫瘤を認め、病理組織学的検査では、奇怪核や多核を有し多形性を示す紡錘形の異型細胞が増殖し、免疫染色ではMDM2, CDK4陽性であることから脱分化型脂肪肉腫と診断した。
