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O-23 著明な限局性膵実質萎縮を契機に診断に至ったHigh-grade PanIN の一例

○佐上 亮太
大分三愛メディカルセンター 消化器内科


 74 歳女性。継続する嘔気を主訴に受診した。血液検査では特記事項なく腹部単純CT で膵体部に限局性膵実質萎縮を認めた。造影CT では膵体部に括れるような形状の限局性膵実質萎縮を認めたが、腫瘤・膵管変化・膵実質の部分的遅延性濃染を認めなかった。MRI でも膵萎縮は指摘可能だったが部分的な拡散抑制を認めなかった。MRCP では実質萎縮部分に一致して不明瞭化する膵管と周囲分枝膵管の軽度拡張を認めるも尾側膵管拡張は目立たなかった。EUS では膵体部に膵管口径不同と狭小化した膵管周囲の微小分枝拡張に修飾された実質低エコーを認めた。背景膵全体に軽度実質塑像を伴っていた。ERP では移行部膵管に部分的な狭小化を認め、造影剤圧入により消失するが軽度壁不整を伴い、周囲分枝は造影不良であった。連続膵液細胞診では初回陰性、2か月後再検は4/9でSuspicious(ClassⅢb-Ⅳ)であった。以上より、膵体部限局性High-grade PanIN(HG-PanIN)の存在を強く疑い、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。切除検体の病理では肉眼的にも最も膵実質萎縮の強い2 切片から散在性のHG-PanIN が検出され、TisN0M0 p-stage0 の診断となった。病変周囲背景膵の線維化・炎症細胞診純及び腺房細胞脱落は著明であり、CT で指摘し得た部位と一致すると考えられた。
【検討要望事項】 HG-PanIN が著名な実質萎縮の原因となった可能性と予想され得る理由。散在するLowgrade PanIN 周囲との比較による段階的な実質萎縮増悪の検討。