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O-24 微小な浸潤を伴った膵管癌の一例

○河田 真由子1)、石井 克憲1)、谷川 朋弘1)、浦田 矩代1)
勝又 諒2)、春間 賢1)、藤原 英世3)、髙岡 宗徳4)、浦上 淳4)
河本 博文1)
1)川崎医科大学総合医療センター 総合内科学2、2)川崎医科大学総合医療センター 総合健診センター、3)川崎医科大学総合医療センター 病理科、4)川崎医科大学総合医療センター 総合外科学


【背景】 膵上皮内癌の報告は増加傾向にある。しかし、浸潤癌への移行形態の報告は少ない。
【症例】 患者:59 歳、男性。弟が膵癌で死亡したのを契機に20XX 年Y 月に膵ドックのMRCP で主膵管狭窄を指摘され、Y+1 月に当院に紹介された。血液検査で腫瘍マーカーの上昇はなく、造影CT、MRCP、EUS では狭窄は指摘されるが、腫瘍を認めなかった。Y+2 月に当科で施行した膵液および擦過細胞診はいずれもclassⅡであった。しかし、再検査が必要と考えY+6 月に連続膵液細胞診(Serial pancreatic juice aspiration cytological examination;SPACE)を行った。5Fr の留置カテーテルから3 回採取した細胞診はいずれもclassⅢであった。しかし膵癌が否定できず、十分なIC 後Y+7 月に膵分節切除術+ リンパ節D1 廓清を施行された。組織では病変部の膵管上皮の大部分はlow Grade PanIN 相当で主膵管周囲には全周性の線維化がみられた。また一部小範囲ながらHigh grade PanIN も存在し、その深部の線維化内に胞巣状に異型腺管が認められ微小ながら浸潤癌と診断した。最終診断はAdenocarcinoma, :pT1a, pN0, M0, pStageⅠA であった。上皮内のHigh grade PanIN から浸潤癌に移行する過程を考察する上で、非常に興味深い症例であり報告する。