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症例は60 歳台女性、急性膵炎にて入院治療時に膵頭体移行部を中心とした実質の限局性萎縮と同部の分枝膵管拡張を指摘された。経過観察中に尾側の主膵管拡張が顕著となり、精査目的にて当科へ紹介となった。MRCPでは実質の萎縮部に一致して主膵管に高度狭窄と尾側主膵管の拡張を認めるも、CE-CT, MRI のaxial image では膵実質に腫瘤像を指摘できなかった。EUS では拡張した主膵管の頭側に5 ㎜前後の周囲膵実質よりわずかに低エコーな領域を認めたが、Sonazoid 造影では明らかなhypovascular area を指摘できなかった。ERCP では頭体移行部に高度な主膵管狭窄と拡張分枝が描出され、同部からの膵管生検および擦過細胞診にて腺癌細胞が検出された。膵管狭窄長よりも広範な実質萎縮部を認めることより、限局性膵炎あるいは微小浸潤を伴う上皮内癌と考え、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織所見では主膵管狭窄部を含め約35 ㎜長の範囲で主膵管から分枝膵管内に高度の細胞異型を伴う低乳頭状上皮(PanIN-2,3 病変)が拡がっており、分枝膵管に微小な実質浸潤像を認めた。経時的な画像変化を組織像と対応すると、実質の限局性萎縮と分枝膵管拡張所見が発見契機となり、Pan-IN 病変の進展領域とほぼ一致していた。経過観察中に尾側膵管拡張が顕著となったが、微小浸潤部は分枝膵管に存在し、膵管像の変化と組織像が乖離した症例と考えられた。
O-26 顕著な実質萎縮と分枝拡張所見を認めた微小浸潤を伴う膵上皮内癌の1例
○長川 達哉1)、平山 敦1)、奥 大樹1)、石川 翔理1)、田原 宗徳2)、
石津 寛之2)、市原 真3)、村岡 俊二3)
1)札幌厚生病院 消化器内科(胆膵内科)、2)札幌厚生病院 外科、3)札幌厚生病院 病理診断科
症例は60 歳台女性、急性膵炎にて入院治療時に膵頭体移行部を中心とした実質の限局性萎縮と同部の分枝膵管拡張を指摘された。経過観察中に尾側の主膵管拡張が顕著となり、精査目的にて当科へ紹介となった。MRCPでは実質の萎縮部に一致して主膵管に高度狭窄と尾側主膵管の拡張を認めるも、CE-CT, MRI のaxial image では膵実質に腫瘤像を指摘できなかった。EUS では拡張した主膵管の頭側に5 ㎜前後の周囲膵実質よりわずかに低エコーな領域を認めたが、Sonazoid 造影では明らかなhypovascular area を指摘できなかった。ERCP では頭体移行部に高度な主膵管狭窄と拡張分枝が描出され、同部からの膵管生検および擦過細胞診にて腺癌細胞が検出された。膵管狭窄長よりも広範な実質萎縮部を認めることより、限局性膵炎あるいは微小浸潤を伴う上皮内癌と考え、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織所見では主膵管狭窄部を含め約35 ㎜長の範囲で主膵管から分枝膵管内に高度の細胞異型を伴う低乳頭状上皮(PanIN-2,3 病変)が拡がっており、分枝膵管に微小な実質浸潤像を認めた。経時的な画像変化を組織像と対応すると、実質の限局性萎縮と分枝膵管拡張所見が発見契機となり、Pan-IN 病変の進展領域とほぼ一致していた。経過観察中に尾側膵管拡張が顕著となったが、微小浸潤部は分枝膵管に存在し、膵管像の変化と組織像が乖離した症例と考えられた。
