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O-29 外科治療可能であった肝原発扁平上皮癌の一例

○平昭 衣梨1)、池田 守登1)、津島 健1)、清水 晃典1)、片村 嘉男1)、小野川 靖二1)、平野 巨通1)、花田 敬士1)、大下 彰彦2)、米原 修治3)
1)JA 尾道総合病院 消化器内科、2)JA 尾道総合病院 外科、3)JA 尾道総合病院 病理研究検査科


 症例は83 歳女性。心窩部痛を自覚して近医受診。腹部エコーで肝左葉に圧痛を伴う低エコー腫瘤があり、精査加療目的に当院紹介。CRP 1.31 ㎎/と軽度上昇を認める他は特記所見なく、AFP・CEA・CA19-9 は正常域。造影CT では肝外側区に60 ㎜大の不整で造影不良な腫瘤性病変が見られ、末梢側胆管の拡張と被膜を伴う液体貯留を認めた。肝内胆管癌とそれに伴う胆道閉塞による肝膿瘍と判断し、抗生剤加療を開始したところ、膿瘍は縮小。腫瘍の診断目的のためERCP を施行した。腫瘍より末梢側の胆管は造影されず、ENBD を留置し複 数回の胆汁細胞診を行ったが悪性所見は認めなかった。EUS-FNA で腫瘍生検を施行したところ、扁平上皮癌を認めた。シフラ25.19ng/、SCC l47ng/と上昇を認めた。PET-CT にて遠隔転移やその他の原発となりうる腫瘍は指摘されず、肝原発扁平上皮癌T3N0M0 Stagell と診断し肝左葉切除術を施行した。術後病理では硝子膠原線維からなる間質を伴う扁平上皮成分よりなる腫瘍で、癌真珠形成も認め、扁平上皮癌に矛盾しない組織像であった。術後1 か月の腫瘍マーカー再検では、シフラ177ng/、SCC 0.3ng/と著明な低下を認めた。肝原発扁平上皮癌は肝内胆管癌の特殊型として組織分類がなされており、非常に予後の悪い極めてまれな疾患で、各種画像診断において肝扁平上皮癌の術前診断は困難であるとされている。病理診断を除いた画像診断のみでの術前診断の可能性について主に討論したい。