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症例は50 歳代女性。人間ドックの腹部超音波検査で膵管拡張を指摘された。身体所見に異常を認めず、血液検査では軽度の膵酵素上昇を認めるのみであった。腹部超音波検査では膵頭部に2 ㎝大の内部均一で境界不明瞭な低エコー腫瘤を認め、尾側主膵管は7 ㎜と拡張していた。単純CT 検査では膵頭部に小石灰化を認めるが腫瘤の認識は困難であった。造影では早期では濃染されず後期では膵実質と同程度に染まる2㎝大の類円形の腫瘤を認め、尾側主膵管は拡張していたが腫瘤の明らかな膵管浸潤は認めなかった。MRI 検査では腫瘤はT1 強調像で低信号、T2 強調像で低信号を呈し、拡散強調像での高信号は認めなかった。ダイナミックMRI は早期では正常膵よりも低信号で後期相にかけてゆっくり染まった。腫瘤は主膵管に腹側から接しておりMRCP では主膵管閉塞が疑われた。EUS では乳頭近傍の主膵管内に低エコー腫瘤を認め、膵頭部腫瘤と連続していた。主膵管浸潤を伴う膵腺房細胞癌を疑いEUS-FNA を施行し、免疫組織学的所見から膵神経内分泌腫瘍と診断した。膵頭十二指腸切除術を施行した。病理では膵神経内分泌腫瘍(G2)であり、主膵管への浸潤と高度の静脈浸潤を認めた。Ki-67 陽性率は11.6% であった。その後再発なく経過している。主膵管浸潤を来す膵神経内分泌腫瘍は稀と思われるが、術前画像診断と本腫瘍の悪性度に関してご討議をお願いします。
O-31 主膵管浸潤を来した膵神経内分泌腫瘍の1例
○児玉 亮
南長野医療センター篠ノ井総合病院 消化器内科
症例は50 歳代女性。人間ドックの腹部超音波検査で膵管拡張を指摘された。身体所見に異常を認めず、血液検査では軽度の膵酵素上昇を認めるのみであった。腹部超音波検査では膵頭部に2 ㎝大の内部均一で境界不明瞭な低エコー腫瘤を認め、尾側主膵管は7 ㎜と拡張していた。単純CT 検査では膵頭部に小石灰化を認めるが腫瘤の認識は困難であった。造影では早期では濃染されず後期では膵実質と同程度に染まる2㎝大の類円形の腫瘤を認め、尾側主膵管は拡張していたが腫瘤の明らかな膵管浸潤は認めなかった。MRI 検査では腫瘤はT1 強調像で低信号、T2 強調像で低信号を呈し、拡散強調像での高信号は認めなかった。ダイナミックMRI は早期では正常膵よりも低信号で後期相にかけてゆっくり染まった。腫瘤は主膵管に腹側から接しておりMRCP では主膵管閉塞が疑われた。EUS では乳頭近傍の主膵管内に低エコー腫瘤を認め、膵頭部腫瘤と連続していた。主膵管浸潤を伴う膵腺房細胞癌を疑いEUS-FNA を施行し、免疫組織学的所見から膵神経内分泌腫瘍と診断した。膵頭十二指腸切除術を施行した。病理では膵神経内分泌腫瘍(G2)であり、主膵管への浸潤と高度の静脈浸潤を認めた。Ki-67 陽性率は11.6% であった。その後再発なく経過している。主膵管浸潤を来す膵神経内分泌腫瘍は稀と思われるが、術前画像診断と本腫瘍の悪性度に関してご討議をお願いします。
