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症例は80 歳代女性。2019 年2 月に前医で膵体部に15 ㎜大の神経内分泌腫瘍(NET)を疑う腫瘤を認め、高齢のため定期的な画像フォローを行なっていた。2020 年1 月に当院へ紹介となり、造影CT では膵体部に15 ㎜大、境界明瞭な円形腫瘤を認め、早期に濃染され、NET に矛盾しない所見であった。しかし2021 年8 月のMRI で、膵頭部に25 ㎜大のT1WI で低信号、T2WI で等信号、DWI で拡散低下を呈し、主膵管拡張を伴う新たな腫瘤を認めた。EUS では、膵頭部に周囲と境界明瞭で辺縁不整な30 ㎜大の低エコー腫瘤と、膵体部から頭体移行部にかけて主膵管内に進展を伴う鋳型の等エコー腫瘤を認めた。ソナゾイド造影で、膵頭部腫瘤は周囲膵実質比較して遅発性に染まり、膵体部腫瘤は比較的早期に濃染を認めた。膵頭部の通常型腺癌と膵体部NET の膵管内進展の合併を考え、膵頭部腫瘤に対してEUS-FNA を行い腺癌の診断を得たため、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除検体において、膵頭部に辺縁不整・境界不明瞭な弾性硬の白色調病変が広がっており、その尾側近傍の主膵管に充満する形で辺縁整・境界明瞭な褐色調の充実性腫瘤を認めた。病理診断は膵頭部病変が腺癌、膵体部病変はNET G2 の診断であった。後方視的にみると、当院紹介時の2020 年2 月の造影CT で膵頭部実質の萎縮を認めており、その時点で腺癌は存在していたはずであり、画像でその指摘が可能かを御教授頂きたい。
O-32 膵体部の神経内分泌腫瘍フォロー中に膵頭部の通常型腺癌を併存した一例
○南 裕人1)、朝井 靖二1)、山本 健治郎1)、殿塚 亮祐1)、
田中 麗奈1)、石井 健太郎1)、土屋 貴愛1)、祖父尼 淳1)、
永川 裕一2)、糸井 隆夫1)
1)東京医科大学 臨床医学系 消化器内科学分野、2)東京医科大学 臨床医学系 消化器外科・小児外科学分野
症例は80 歳代女性。2019 年2 月に前医で膵体部に15 ㎜大の神経内分泌腫瘍(NET)を疑う腫瘤を認め、高齢のため定期的な画像フォローを行なっていた。2020 年1 月に当院へ紹介となり、造影CT では膵体部に15 ㎜大、境界明瞭な円形腫瘤を認め、早期に濃染され、NET に矛盾しない所見であった。しかし2021 年8 月のMRI で、膵頭部に25 ㎜大のT1WI で低信号、T2WI で等信号、DWI で拡散低下を呈し、主膵管拡張を伴う新たな腫瘤を認めた。EUS では、膵頭部に周囲と境界明瞭で辺縁不整な30 ㎜大の低エコー腫瘤と、膵体部から頭体移行部にかけて主膵管内に進展を伴う鋳型の等エコー腫瘤を認めた。ソナゾイド造影で、膵頭部腫瘤は周囲膵実質比較して遅発性に染まり、膵体部腫瘤は比較的早期に濃染を認めた。膵頭部の通常型腺癌と膵体部NET の膵管内進展の合併を考え、膵頭部腫瘤に対してEUS-FNA を行い腺癌の診断を得たため、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除検体において、膵頭部に辺縁不整・境界不明瞭な弾性硬の白色調病変が広がっており、その尾側近傍の主膵管に充満する形で辺縁整・境界明瞭な褐色調の充実性腫瘤を認めた。病理診断は膵頭部病変が腺癌、膵体部病変はNET G2 の診断であった。後方視的にみると、当院紹介時の2020 年2 月の造影CT で膵頭部実質の萎縮を認めており、その時点で腺癌は存在していたはずであり、画像でその指摘が可能かを御教授頂きたい。
