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O-33 CA19-9上昇を伴う嚢胞変性をきたした膵神経内分泌腫瘍の1例

○角 一弥1)、牛尾 純1)、松尾 海1)、出口 義雄1)、柴田 悠樹1)
篠原 浩樹1)、野村 憲弘1)、伊藤 敬義1)、九島 巳樹2)、井上 晴洋1)
1)昭和大学 江東豊洲病院 消化器センター、2)昭和大学 江東豊洲病院 臨床病理診断科


 症例は37 歳、女性。2 年前から膵尾部の多房性嚢胞を経過観察しており、形態の変化は見られなかったが、CA19-9 が上昇傾向にあり、腹腔鏡下膵尾部・脾臓合併切除術を行った。
 MRI では、膵尾部に12 ㎜程の多房性嚢胞を認め、T1WI で低吸収、T2WI で高吸収を示し、拡散制限は伴っていなかった。Dynamic CT では、嚢胞の隔壁は造影効果は乏しかったが、嚢胞周囲が淡く造影される様にみえた。EUS では、一部が外側に突出する多房性嚢胞として認識され、共通の被膜ははっきりしなかった。ソナゾイド造影では、隔壁のみでなく病変の辺縁も被膜様に淡く造影された。CA19-9 が3740U/mL, Span-1 が333U/mL と異常高値であり、リンパ上皮性嚢胞なども考えたが、非典型的であり、確定診断困難なため切除に至った。なお、FDG-PET では、膵尾部の病変を含め有意な集積はみられなかった。
 病理組織学的には、薄い被膜を有する嚢胞性病変であり、小型の円形核を有する腫瘍細胞が概ね1 層、一部で索状・胞巣状に増生して嚢胞の内腔を裏打ちしていた。腫瘍細胞はChromogranin A, Synaptophysin 陽性であり、Ki-67 index 低値のため、PanNEN G1 と診断した。CA19-9 染色は陰性であった。
 術後はCA19-9, Span-1 ともに低下傾向にある。
 術前にPNEN と診断可能であったかどうか、腫瘍マーカーとの因果関係についてご討議いただきたい。