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P-01 2型糖尿病の急激な悪化と糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を来した膵原発MiNEN の一例

○田中 マリ子1)、高山 敬子1)、齊藤 里美1)、大塚 奈央1)
赤尾 潤一1)、菊山 正隆1)、樋口 亮太2)、本田 五郎2)、伊藤 泰斗3)
古川 徹3)
1)東京女子医科大学 消化器内科、2)東京女子医科大学 肝胆膵外科、3)東北大学大学院医学系研究科 病態病理学分野


【症例】 70 代女性。
【主訴】 体重減少、左季肋部痛。
【現病歴】 201X 年9 月より左季肋部の鈍痛と6㎏の体重減少があった。近医受診し膵酵素高値および糖尿病増悪、造影CT で膵頭部に造影不良域を認め当科紹介入院した。第3 病日に嘔気・嘔吐、意識障害、Kussmaul 呼吸が出現し、DKA の診断となり8 日間の集中治療を要した。膵頭部腫瘍はMRI で8 ㎜の境界不明瞭な充実性腫瘍、EUS では9 ㎜の辺縁不整、境界不明瞭、内部不均一な低エコー腫瘤でElastgraphy では周囲膵実質比較し硬、ドプラで乏血性であった。ERCP では膵頭部膵管と遠位胆管に狭窄有り、膵液細胞診でClass V で膵頭部癌cStageⅠA としてPPPD を施行した。切除標本での最終診断はMixed acinar-neuroendocrine carcinoma であった。術後細胞診再検討では異型細胞のChromogranin A, Synaptophysin が陽性であった。
【考察】 近年、膵臓由来のNEC はゲノム異常の違いからDuctal-type とAcinar-type に分類できることが報告され、起源細胞が異なる可能性があることが報告されている。今回NEC と腺房細胞癌(ACC)が混在するMiNEN を経験した。ACC は画像上、肉眼像および組織形態像がNEN と類似しており鑑別が困難である場合が 多い。今回経験した症例は免疫組織化学染色でp16 過剰発現、Rb 喪失、β catenin 核内発現が認められRb 喪失がドライバーで腫瘍化した症例と考えられた。今後のMiNEN およびNEC の分化過程において興味深い症例であり文献的考察を含め報告する。