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症例は70 歳男性。腹部大動脈瘤術後の経過観察のCT にて、遠位胆管に腫瘤を指摘され当科紹介。造影CTでは胆嚢管合流部~遠位胆管にかけて不整な壁肥厚を認め、同部から連続するように60 ㎜大の乏血性腫瘤を認めた。EUS では60 ㎜大の境界明瞭な類円形低エコー腫瘤として描出され、遠位胆管~胆嚢管の腫瘤と連続性もみられた。ERC では遠位胆管に35 ㎜にわたる狭窄を認め、同部の生検は腺癌の診断であった。遠位胆管癌の壁外浸潤、もしくはリンパ節転移の診断となった。過去の造影CT を後方視的に検討すると、2 年前より胆管壁肥厚と近傍の腫瘤は指摘可能で、緩徐に増大している所見であった。その他には明らかな転移の所見はみられず、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本は、肉眼的に遠位胆管~胆嚢管にかけて乳頭浸潤型の病変を認め、80 ㎜大に腫大したリンパ節が付着していた。組織学的には遠位胆管において乳頭状に増殖する乳頭腺癌と、類円形腫大核を有する異型細胞が索状構造を呈し増殖する低分化癌が認められた。リンパ節転移は大部分が低分化成分で占められていた。低分化成分は特殊染色により大細胞型神経内分泌癌(LCNEC)と診断した。Ki-67 は90% 以上であった。以上より胆管MiNEN(pT4N1M0 pStageIIIB)の最終診断となった。緩徐な経過をたどった稀な症例であり、MiNEN の発生形態や診断について臨床・病理両観点からご討議いただきたい。
P-02 2年の経過で80 ㎜のリンパ節転移をきたした胆管Mixed neuroendocrine non-neuroendocrine neoplasm(MiNEN)の1例
○伊藤 聡司
仙台厚生病院 消化器内科
症例は70 歳男性。腹部大動脈瘤術後の経過観察のCT にて、遠位胆管に腫瘤を指摘され当科紹介。造影CTでは胆嚢管合流部~遠位胆管にかけて不整な壁肥厚を認め、同部から連続するように60 ㎜大の乏血性腫瘤を認めた。EUS では60 ㎜大の境界明瞭な類円形低エコー腫瘤として描出され、遠位胆管~胆嚢管の腫瘤と連続性もみられた。ERC では遠位胆管に35 ㎜にわたる狭窄を認め、同部の生検は腺癌の診断であった。遠位胆管癌の壁外浸潤、もしくはリンパ節転移の診断となった。過去の造影CT を後方視的に検討すると、2 年前より胆管壁肥厚と近傍の腫瘤は指摘可能で、緩徐に増大している所見であった。その他には明らかな転移の所見はみられず、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本は、肉眼的に遠位胆管~胆嚢管にかけて乳頭浸潤型の病変を認め、80 ㎜大に腫大したリンパ節が付着していた。組織学的には遠位胆管において乳頭状に増殖する乳頭腺癌と、類円形腫大核を有する異型細胞が索状構造を呈し増殖する低分化癌が認められた。リンパ節転移は大部分が低分化成分で占められていた。低分化成分は特殊染色により大細胞型神経内分泌癌(LCNEC)と診断した。Ki-67 は90% 以上であった。以上より胆管MiNEN(pT4N1M0 pStageIIIB)の最終診断となった。緩徐な経過をたどった稀な症例であり、MiNEN の発生形態や診断について臨床・病理両観点からご討議いただきたい。