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P-03 充実部で占められた肝内胆管原発のIPNB の一例

○八木 伸1)、栗田 裕介1)、長谷川 翔1)、佐藤 高光1)、細野 邦広1)
遠藤 格2)、山中 正二3)、中島 淳1)、窪田 賢輔1)
1)横浜市立大学医学部附属病院 肝胆膵消化器病学、2)横浜市立大学医学部附属病院 消化器腫瘍外科学、3)横浜市立大学医学部附属病院 病理診断科


 症例は61 歳、女性。心窩部痛を主訴に近医を受診し、腹部超音波検査で肝左葉に境界明瞭でhyperechoic な50 ㎜程度の腫瘤性病変を認め前医紹介受診となった。CT では不均一に低吸収であり、腫瘤背側のB2 胆管は嚢状に拡張していた。造影では早期から腫瘤全体に淡く不均一な造影効果を認めた。MRI ではT2 高T1 低信号であり、拡散強調画像では腫瘤全体に高信号を認めた。その後当院紹介となり、EUS を施行すると、腫瘤は不均一にhyperechoic で一部anechoic 域を含み、B2 胆管との交通を認めた。造影で充実部に染影効果を認めた。B2-4 胆管は拡張していたが、B3,4 胆管内には病変を認めなかった。ERCP を施行すると、胆管造影では右肝管、左肝管、B4 胆管には壁不整など所見を認めず、B2 胆管から嚢状に造影される領域を認めた。IDUS ではB2+3胆管根部までの進展を否定できなかったが、B4 胆管、左肝管には病変の進展を認めなかった。胆管挿管に難渋したため、膵炎リスクが高いと判断しPOCS は施行しなかった。左肝管、膵上縁から施行した胆管生検では腫瘍細胞を認めなかった。ERCP 後膵炎を発症したため再検査はせずに、画像所見からB2 胆管原発のIPNB の術前診断として肝左葉切除が施行された。手術検体より、線維血管性間質を伴う腫瘍細胞が乳頭状構造を形成しながら非浸潤性に増殖しておりIPNB の病理診断となった。切除断端は陰性であった。術前の画像診断、切除範囲の評価が妥当であったかご討議いただきたい。