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症例は60 歳代女性。20xx 年、心窩部痛及び背部痛にて近医受診、膵酵素上昇認め急性膵炎と診断され他院紹介された。他院でのMRCP, PET-CT などの精査では悪性所見なく内服加療されていたが改善しないため、初診から約5 か月後に当院紹介となった。膵dynamic-CT にて膵尾部に限局性膵萎縮を認めたため、上皮内癌の存在を疑いEUS にて精査した。 EUS では膵萎縮部に小のう胞および分枝拡張を認めた。その尾側に直径8㎜程度の類円形の低エコー領域を認め、ソナゾイド造影では周囲膵実質と同等かやや血流が低下していた。上皮内癌に伴う随伴性膵炎などの変化も考慮し、さらにMRCP を施行した。MRCP では膵萎縮部に一致して主膵管の軽度の狭窄と分枝拡張を認めた。T1 強調画像では萎縮部より尾側に信号変化を認め、拡散強調画像にて同部位は高信号であった。ERCP 膵液細胞診も検討したが、膵液細胞診が陰性であっても上皮内癌の可能性が否定できないと判断し、十分なIC の元、当院外科にて脾合併膵体尾部切除を施行した。病理組織学的には、膵萎縮部の頭側から尾側の主膵管および分枝膵管上皮にPanIN3 相当の異型膵管上皮を認めた。討論していただきたいポイントは、
①術前のEUS で指摘のあった尾側の低吸収域は上皮内癌に伴う随伴性膵炎の所見と考えてよいか?
②術前にERCP での膵液細胞診は必要であったか?
についてご討論をお願いいたします。
P-08 限局性膵萎縮を契機に発見された膵上皮内癌の1例
○實藤 洋伸1)、宮田 英樹1)、植木 秀太郎1)、黒田 太良1)、
渡邊 常太2)、大谷 広美2)、前田 智治3)
1)愛媛県立中央病院 消化器内科、2)愛媛県立中央病院 消化器外科、3)愛媛県立中央病院 病理診断科
症例は60 歳代女性。20xx 年、心窩部痛及び背部痛にて近医受診、膵酵素上昇認め急性膵炎と診断され他院紹介された。他院でのMRCP, PET-CT などの精査では悪性所見なく内服加療されていたが改善しないため、初診から約5 か月後に当院紹介となった。膵dynamic-CT にて膵尾部に限局性膵萎縮を認めたため、上皮内癌の存在を疑いEUS にて精査した。 EUS では膵萎縮部に小のう胞および分枝拡張を認めた。その尾側に直径8㎜程度の類円形の低エコー領域を認め、ソナゾイド造影では周囲膵実質と同等かやや血流が低下していた。上皮内癌に伴う随伴性膵炎などの変化も考慮し、さらにMRCP を施行した。MRCP では膵萎縮部に一致して主膵管の軽度の狭窄と分枝拡張を認めた。T1 強調画像では萎縮部より尾側に信号変化を認め、拡散強調画像にて同部位は高信号であった。ERCP 膵液細胞診も検討したが、膵液細胞診が陰性であっても上皮内癌の可能性が否定できないと判断し、十分なIC の元、当院外科にて脾合併膵体尾部切除を施行した。病理組織学的には、膵萎縮部の頭側から尾側の主膵管および分枝膵管上皮にPanIN3 相当の異型膵管上皮を認めた。討論していただきたいポイントは、
①術前のEUS で指摘のあった尾側の低吸収域は上皮内癌に伴う随伴性膵炎の所見と考えてよいか?
②術前にERCP での膵液細胞診は必要であったか?
についてご討論をお願いいたします。