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P-11 妊娠中に発見されたMucinous cystic carcinoma の1例

○郷 雅1)2)、野路 武寛1)、海老原 裕磨1)、中西 善嗣1)
浅野 賢道1)、中村 透1)、土川 貴裕1)、三橋 智子2)、松野 吉宏2)
平野 聡1)
1)北海道大学医学研究院 消化器外科学教室Ⅱ、2)北海道大学病院 病理診断科


【症例】 30 歳代、女性。妊娠初期に左側腹部痛を主訴として、前医を受診。腹部超音波検査及びMRI 検査では、膵尾部に類球形の境界明瞭で、充実部は比較的均一、一部小嚢胞構造を疑う腫瘍を認め、充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)と診断され、出産後に当院で精査を進めた。造影腹部超音波検査では、動脈相で辺縁より流入する造影効果を示し、静脈相での造影遷延を認め、一部では造影不良域を呈する53 × 45 ㎜大の腫瘍を認めた。MRI では厚い被膜を認め、T1 強調像で不均一な軽度低信号、T2 強調像と拡散強調像では高信号と低信号を呈していた。造影CT では不均一な造影効果を認め、一部に嚢胞成分が混在。以上より出血壊死を伴うSPN の可能性が最も高いと診断し、膵尾部切除を施行。
【病理所見】 腫瘍は厚い線維性の被膜を有する嚢胞性病変であり、嚢胞内の一部では淡明~好酸性の円柱状細胞質と腫大核をもつ異型上皮がシダの葉状の複雑な乳頭状構築を示して増殖、所々に紡錘形細胞が帯状・層状に増生する線維性間質を認めた。IHC では、これら間質細胞の一部は核および細胞質にcalretinin、inhibin αが陽性で、ER、PR は散在性に核に淡く陽性を呈しており、卵巣様間質の所見。主膵管と交通がなく、間質への浸潤もあり、粘液性嚢胞腺癌(MCC)の診断となった。
【本演題のポイント】 画像診断での鑑別診断が多岐にわたり、病理所見では卵巣様間質が診断の決め手となった。 術前画像診断で、MCC の診断が可能であったかどうか。