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P-15 EUS-FNB が診断に有用であった膵周囲結核性リンパ節炎の一例

○高崎 哲郎1)、肱岡 範1)、竹下 宏太郎1)、川﨑 佑輝1)
丸木 雄太1)、大場 彬博1)、永塩 美邦1)、奥坂 拓志1)、平岡 伸介2)
1)国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科、2)国立がん研究センター中央病院 病理診断科


 患者は50 代女性、前医で乳癌に対して術後補助化学療法中であった。腹部CT で長径が27 ㎜大の膵尾部腫瘤を指摘され、精査目的に当院紹介となった。結核の既往や家族歴は認めなかった。無症状で身体所見に異常なく、血液検査で腫瘍マーカーやsIL-2 の上昇は認めず、HIV 抗体は陰性だった。腹部造影CT では、腫瘤はリング状濃染・多房性の造影パターンを呈し、同腫瘤は、膵尾部近傍および胃小弯側周囲にも複数認め多発リンパ節腫大を疑った。EUS で病変は境界明瞭・輪郭整、内部は不均一で無エコー域を含む腫瘤として描出された。悪性腫瘍のリンパ節転移を鑑別に挙げ、EUS-FNB(22G)を施行し、病理組織診断で類上皮肉芽腫及びラングハンス巨細胞を認めたため、結核性リンパ節炎が鑑別診断に挙がった。胸部CT で肺野に異常はなかったが、IFN- γ遊離試験(T spot)が陽性であった。確定診断目的に再度EUS-FNB を施行し、組織検体の結核菌PCR・液体培養を行った。いずれも陽性であり結核性リンパ節炎と診断した。
 本症例では、腹部結核性リンパ節炎を事前に考慮していれば複数回の検査は避けられた反省症例であった。腹腔内リンパ節腫大を見た場合、本疾患の可能性を念頭におくことが重要である。