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P-17 膵炎にて発症した破骨型多核巨細胞を伴う退形成膵癌の1例

○山本 貴浩1)、竹原 有美1)、成田 晶子1)、松永 望1)、川井 恒1)
鈴木 耕次郎1)、佐野 力2)、高原 大志3)
1)愛知医科大学病院 放射線科、2)愛知医科大学病院 消化器外科、3)愛知医科大学病院 病理診断科


 患者は60 歳代男性、主訴は2 週間前からの上腹部痛。前医のエコーで膵頭部に3 ㎝大の腫瘤を指摘された。精査加療目的に当院受診した。血液・生化検査で膵アミラーゼ(464 U/L)、CA19-9(84 U/mL)の上昇を認めた。膵は全体的に腫大し、周囲脂肪織の吸収値が軽度上昇していた。また膵頭部に腫瘤表面が軽度不整な35 × 30 ㎜の腫瘍を認めた。ダイナミック造影CT の膵実質相で腫瘍は膵実質に比して強く造影され、平衡相では遷延性に増強される領域と軽度低吸収を呈する領域が混在していた。また腫瘤内部に低吸収を呈する不整形の造影不良域を認めた。平衡相では腫瘍周囲に軽度造影される被膜様の領域を認めた。主膵管は腫瘤により狭窄し、上流膵管は径4 ㎜と拡張していた。MRI で腫瘤はT1WI で膵実質と比べ低信号、T2WI では膵実質と等信号で、辺縁に薄い低信号域を認めた。DWI は高信号、ADCmap は低値であった。ダイナミック造影早期相で腫瘤辺縁優位に造影効果を認めた。後期相では腫瘍辺縁のT2WI 低信号域に一致して、遷延する造影効果を認めた。膵頭十二指腸切除術が施行され、病理診断の結果、破骨型多核巨細胞を伴う退形成膵癌と診断された。破骨型多核巨細胞を伴う退形成膵癌の画像の特徴について、文献的考察を加えて報告する。