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O-02 確定診断に30ヶ月を要した膵神経内分泌腫瘍の1例

○池田 慎也1)、川口 真矢1)、佐藤 辰宣1)、遠藤 伸也1)、白根 尚文1)、高木 哲彦2)、金本 秀行2)、大場 範行2)、村上 明紀3)、鈴木 誠3)
1)静岡県立総合病院 肝胆膵内科、2)静岡県立総合病院 肝胆膵外科、3)静岡県立総合病院 病理診断科


 症例は69歳男性。心窩部痛を主訴に受診し、急性膵炎の診断で入院となった。造影CTでは、膵尾部に上流膵管拡張を伴う28mm大の造影効果の乏しい腫瘤性病変と閉塞性膵炎の所見を認めた。MRIでは腫瘤はT1WI高信号、T2WI低信号から出血成分が主体と考えられた。EUSでは辺縁不整な低エコー腫瘤を示し、ソナゾイド造影で腫瘤辺縁のみに造影効果が疑われた。出血を伴う膵仮性嚢胞、特殊型膵癌などを鑑別に挙げ、EUS-FNAおよびSPACEを施行したが悪性所見は認めなかった。画像所見上は悪性疾患が否定できず、かつ有症状であったため外科的切除を提示したが希望されなかった。2ヶ月後の造影MRIでは、膵尾部腫瘤は15mm大に縮小し、膵管拡張も改善した。ソナゾイド造影所見から腫瘤辺縁に対し再度EUS-FNAを施行したが確定診断には至らなかったため、以降は3ヶ月毎に慎重に経過観察を継続した。遷延性濃染を伴う腫瘤性病変に置換されていったが、経過より膵炎後/仮性嚢胞退縮後の線維化を疑った。30ヶ月後にEUSで膵尾部腫瘤が17mmに再増大し、膵管拡張が再増悪したため再々度EUS-FNAを施行し、膵神経内分泌腫瘍の診断に至った。腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行し、NET-G1, pT2N0M0,pStageⅡと最終診断した。
【検討項目】膵炎発症時にはどのような病態が画像に反映されていたのかについて議論いただきたい。