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O-03 主膵管内進展を伴う膵神経内分泌腫瘍の1例

○池田 恵理子1,2)、菅野 敦1)、安藤 梢1,2)、佐野 直樹2)、田中 朗嗣1)、櫻井 祐輔1)、横山 健介1)、笹沼 英紀3)、佐田 尚宏3)、福嶋 敬宜3)
1)自治医科大学 内科学講座消化器内科部門、2)自治医科大学 病理診断部、3)自治医科大学 外科学講座消化器一般移植外科部門


【症例】79歳、女性
【既往歴】サルコイドーシスに対してステロイドによる加療中
【経過】20XX年7月に呼吸器内科で施行した単純CTで膵尾部腫瘤が指摘され、当院消化器内科を紹介された。造影CTでは膵尾部に膨張性発育を呈する造影効果を伴う腫瘤が認められた。また、腫瘤と連続して主膵管内にも広範囲に腫瘍栓が認められた。20XX-14年からの単純CTを振り返ると、20XX-5年より膵尾部腫瘤が認められ、徐々に増大していた。EUSでも膵尾部に境界明瞭、輪郭軽度凹凸のある低エコー腫瘤を認め、腫瘍は膵管を充満するように進展していた。ソナゾイド造影では、早期から均一に濃染され、壊死を窺わせる造影不良域は認めなかった。PET-CTでは、膵尾部腫瘤に集積を認めた。画像所見からは膵神経内分泌腫瘍や腺房細胞癌を鑑別に挙げ、当院消化器外科にて腹腔鏡下膵体尾部除術を施行した。病理組織学的には、腫瘤は被膜を伴った多結節融合状の充実性腫瘍であった。また、腫瘍は主膵管へ穿破し、膵管内を充満して腫瘍栓様に頭側へ進展していた。腫瘍細胞は豊富な好酸性胞体を有し、核クロマチンが粗造な細胞で、ロゼット様構造を呈していた。免疫染色では、INSM1、Synaptophysin、ChromograninAが陽性、Ki-67 indexが5%であり膵神経内分泌腫瘍G2と診断した。
【まとめ】CTによる後方視的な経過の振り返りが可能であった主膵管内進展を伴う膵神経内分泌腫瘍の1例を経験したので報告する。