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【症例】30歳台,女性.健診の腹部超音波検査で膵尾部に嚢胞性病変を指摘され,精査目的に当院へ紹介された.腹部造影CTでは,膵尾部に遷延性に造影される内部隔壁を伴う最大径22mm大の多房性嚢胞性病変を認めた.MRIで嚢胞はT1強調画像で低信号,T2 強調画像で高信号,拡散強調画像で高信号を呈しており,MRCPでは嚢胞と主膵管に交通は認めなかった.EUS では,嚢胞内部にacoustic shadowを伴う高輝度の構造物を認めた.以上より膵尾部に発生した類表皮嚢胞や粘液性嚢胞腫瘍(MCN)を鑑別に挙げ,診断的治療目的に腹腔鏡下脾合併膵体尾部切除術を施行した.切除検体は,肉眼的には脾門部腹側に膵尾部に潜り込む形で発育する20×18×13mmの半球状の突出を認め,突出内には赤褐色の泥状物を含有する嚢胞様構造物を認めた.嚢胞様構造物は膵実質への連続性を認めず,膵内には副脾が散見された.病理組織学的には嚢胞周囲組織に脾洞内皮を認め,嚢胞内にはコレステリン結晶を含む弱好酸性物質と少量の炎症細胞や組織球を認めた.嚢胞内腔を覆う細胞は重層扁平上皮に覆われており,免疫染色でcytokeratin AE1/3,p40,cytokeratin 5/6が陽性であった.また,嚢胞内には膵組織は認めなかった.以上より病変は脾臓内の類表皮嚢胞と診断した.
【検討項目】術前画像所見から病変の局在を含めた診断が可能であったかご検討をお願いします.
O-04 局在を含めた術前診断が困難であった脾類表皮嚢胞の一例
○北口 恭規1)、古賀 毅彦1)、松元 慶亮1)、土屋 直壮1)、石田 祐介1)、佐々木 貴英2)、中島 亮2)、内藤 滋俊2)、石井 文規2)、梶原 正俊2)、濱田 義浩3)、吉満 研吾4)、平井 郁仁1)
1)福岡大学 消化器内科学講座、2)福岡大学 消化器外科学講座、3)福岡大学 病理学講座、4)福岡大学 放射線科学講座
【症例】30歳台,女性.健診の腹部超音波検査で膵尾部に嚢胞性病変を指摘され,精査目的に当院へ紹介された.腹部造影CTでは,膵尾部に遷延性に造影される内部隔壁を伴う最大径22mm大の多房性嚢胞性病変を認めた.MRIで嚢胞はT1強調画像で低信号,T2 強調画像で高信号,拡散強調画像で高信号を呈しており,MRCPでは嚢胞と主膵管に交通は認めなかった.EUS では,嚢胞内部にacoustic shadowを伴う高輝度の構造物を認めた.以上より膵尾部に発生した類表皮嚢胞や粘液性嚢胞腫瘍(MCN)を鑑別に挙げ,診断的治療目的に腹腔鏡下脾合併膵体尾部切除術を施行した.切除検体は,肉眼的には脾門部腹側に膵尾部に潜り込む形で発育する20×18×13mmの半球状の突出を認め,突出内には赤褐色の泥状物を含有する嚢胞様構造物を認めた.嚢胞様構造物は膵実質への連続性を認めず,膵内には副脾が散見された.病理組織学的には嚢胞周囲組織に脾洞内皮を認め,嚢胞内にはコレステリン結晶を含む弱好酸性物質と少量の炎症細胞や組織球を認めた.嚢胞内腔を覆う細胞は重層扁平上皮に覆われており,免疫染色でcytokeratin AE1/3,p40,cytokeratin 5/6が陽性であった.また,嚢胞内には膵組織は認めなかった.以上より病変は脾臓内の類表皮嚢胞と診断した.
【検討項目】術前画像所見から病変の局在を含めた診断が可能であったかご検討をお願いします.
