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症例は80歳代,男性.体重減少を主訴に受診した.CTでは肝S5/8から胆嚢底部に連続する,単純にて低吸収域-周囲肝組織と同等の吸収域,造影にて内部不均一で緩徐な造影効果を示す分葉状腫瘍を認めた.胆嚢頚部-総胆管にかけての壁肥厚は認めなかった.MRIでは肝内病変はT1 low,T2 lowとhigh intensityを示す部位が混在,DWIで拡散低下を認めた.胆嚢底部の病変はT1 iso,T2 low,DWIで拡散低下を認めた.腹部エコーでは内部不均一で一部に嚢胞状領域を有する腫瘍を認め,肝病変に連続していた.造影所見では,動脈相にて内部に多結節性に流入する造影効果,門脈相では造影効果の減弱を認めた.以上の所見より,胆嚢癌cT3a(SI)(Hinf)N0M0cStageIIIAと診断し,胆嚢・肝拡大前区域切除術,リンパ節郭清を施行した.
病理組織学的所見:肉眼所見では肝臓と胆嚢底部にそれぞれ主座のある色調の異なる結節が肝内で衝突していた.HE染色においては,肝内腫瘍は大小不同の核を有し髄様の増殖を示す領域と,炎症細胞浸潤を伴う線維性間質を背景に小型異型腺管が浸潤性発育を認める部位を認めた.胆嚢腫瘍は粘液様間質を背景として一部に扁平上皮様変化,異型紡錘形細胞の増生を認めた.免疫染色所見:肝病変はCD56が陽性,胆嚢の癌成分はAE1/AE3が陽性,一部がp40陽性,肉腫成分においてはいずれも陰性であった.以上から肝内胆管癌および胆嚢癌肉腫(癌成分は腺扁平上皮癌)の衝突癌と診断した.
O-05 術前画像診断に難渋した稀少衝突癌の1例
○内藤 善1)、野路 武寛1)、伊野 永隼1,2)、中島 正人3)、三橋 智子2)、平野 聡1)
1)北海道大学大学院医学研究院 消化器外科学教室II、2)北海道大学病院 病理診断科、3)愛育病院 消化器内科
症例は80歳代,男性.体重減少を主訴に受診した.CTでは肝S5/8から胆嚢底部に連続する,単純にて低吸収域-周囲肝組織と同等の吸収域,造影にて内部不均一で緩徐な造影効果を示す分葉状腫瘍を認めた.胆嚢頚部-総胆管にかけての壁肥厚は認めなかった.MRIでは肝内病変はT1 low,T2 lowとhigh intensityを示す部位が混在,DWIで拡散低下を認めた.胆嚢底部の病変はT1 iso,T2 low,DWIで拡散低下を認めた.腹部エコーでは内部不均一で一部に嚢胞状領域を有する腫瘍を認め,肝病変に連続していた.造影所見では,動脈相にて内部に多結節性に流入する造影効果,門脈相では造影効果の減弱を認めた.以上の所見より,胆嚢癌cT3a(SI)(Hinf)N0M0cStageIIIAと診断し,胆嚢・肝拡大前区域切除術,リンパ節郭清を施行した.
病理組織学的所見:肉眼所見では肝臓と胆嚢底部にそれぞれ主座のある色調の異なる結節が肝内で衝突していた.HE染色においては,肝内腫瘍は大小不同の核を有し髄様の増殖を示す領域と,炎症細胞浸潤を伴う線維性間質を背景に小型異型腺管が浸潤性発育を認める部位を認めた.胆嚢腫瘍は粘液様間質を背景として一部に扁平上皮様変化,異型紡錘形細胞の増生を認めた.免疫染色所見:肝病変はCD56が陽性,胆嚢の癌成分はAE1/AE3が陽性,一部がp40陽性,肉腫成分においてはいずれも陰性であった.以上から肝内胆管癌および胆嚢癌肉腫(癌成分は腺扁平上皮癌)の衝突癌と診断した.
