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症例は51歳、男性。特記すべき既往歴なし。健診の腹部エコーで脾腫瘤を指摘され、精査目的に当科紹介受診した。腹部造影エコーでは脾下極に55mm大の内部不均一な低エコー腫瘤を認め、血管相で車軸様の造影効果を認めた。造影CTでも同様に車軸様の造影効果を示した。EOBプリモビスト造影MRIではT1WIで等~低信号、T2WIで内部不均一な低信号域、ヘモジデリン沈着を疑う低信号域を広範に認めた。造影後期層で辺縁から中心部へ不均一な造影増強効果を認めた。FDG-PETで腫瘤に一致するSUVmax=4.1の集積を認めた。以上からSclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT)を第一に疑い、確定診断目的に腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した。手術時間157分、出血少量、術後合併症なくPOD7に退院した。切除標本で脾下極に60×50mm大の腫瘤を認め、割面で灰白色調の隔壁内に暗赤色の小結節が多結節状に見られた。病理組織学的検査では膠原繊維に富む結合組織で囲まれた結節内に小血管腔が見られ、結合組織中にリンパ球および形質細胞浸潤や赤血球およびヘモジデリン沈着マクロファージを認めた。免疫組織学的にはCD34(+)/CD8(-)/CD31(+), CD34(-)/CD8(-)/CD31(+), CD34(-)/CD8(+)/CD31(+)を示す血管成分の混在を認めた。以上からSANTと診断した。SANTは非常に稀な脾臓の非腫瘍性血管病変で、術前確定診断が困難である。術前画像所見から考慮すべき鑑別疾患、治療方針を中心に討議をお願いしたい。
O-06 腹腔鏡下脾臓摘出術を施行したSclerosing angiomatoid nodular transformation(SANT)の1例
○山本 峻也1)、三宅 謙太郎1)、菊地 祐太郎1)、藪下 泰宏1)、澤田 雄1)、本間 祐樹1)、松山 隆生1)、新井 拓真2)、山中 正二2)、遠藤 格1)
1)横浜市立大学附属病院 消化器・腫瘍外科、2)横浜市立大学附属病院 病理診断科・病理部
症例は51歳、男性。特記すべき既往歴なし。健診の腹部エコーで脾腫瘤を指摘され、精査目的に当科紹介受診した。腹部造影エコーでは脾下極に55mm大の内部不均一な低エコー腫瘤を認め、血管相で車軸様の造影効果を認めた。造影CTでも同様に車軸様の造影効果を示した。EOBプリモビスト造影MRIではT1WIで等~低信号、T2WIで内部不均一な低信号域、ヘモジデリン沈着を疑う低信号域を広範に認めた。造影後期層で辺縁から中心部へ不均一な造影増強効果を認めた。FDG-PETで腫瘤に一致するSUVmax=4.1の集積を認めた。以上からSclerosing angiomatoid nodular transformation (SANT)を第一に疑い、確定診断目的に腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した。手術時間157分、出血少量、術後合併症なくPOD7に退院した。切除標本で脾下極に60×50mm大の腫瘤を認め、割面で灰白色調の隔壁内に暗赤色の小結節が多結節状に見られた。病理組織学的検査では膠原繊維に富む結合組織で囲まれた結節内に小血管腔が見られ、結合組織中にリンパ球および形質細胞浸潤や赤血球およびヘモジデリン沈着マクロファージを認めた。免疫組織学的にはCD34(+)/CD8(-)/CD31(+), CD34(-)/CD8(-)/CD31(+), CD34(-)/CD8(+)/CD31(+)を示す血管成分の混在を認めた。以上からSANTと診断した。SANTは非常に稀な脾臓の非腫瘍性血管病変で、術前確定診断が困難である。術前画像所見から考慮すべき鑑別疾患、治療方針を中心に討議をお願いしたい。
