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症例は85歳、女性。脂質異常症で前医通院中に血液検査でLDHの高値を認め、当院にCT検査依頼され受診となった。
画像所見上は、腹部超音波にて膵鈎部に腫瘤を認めた。造影CTにて、SMVへの浸潤を認める、20mm程度の腫瘤性病変を認め、内部は多房性の嚢胞成分が疑われた。MRIでは腫瘤内部は液体成分であり、腫瘤内で明らかな拡散抑制を認める部分はなかったが。MRCPでは主膵管に明らかな変化を認めなかった。EUSでも腫瘤内部は嚢胞性病変が中心であったが、MRI、CTと比較して嚢胞部分が少ない印象を受けた。腫瘤の辺縁よりFNAを施行した。FNAの結果はadenocarcinomaであった。このためERCPにて主膵管、分枝膵管の変化を確認したが、主膵管には異常はなく、鈎部の分枝は圧排性の変化および、軽度の拡張を認めたが、adenocarcinomaを確定する所見は認めなかった。
画像上、診断を絞り込めなかったが、膵癌の特殊型を想定して、SS-PPDを施行した。
術後の病理診断にて、腫瘤内の間質は繊維形成性で内部に小嚢胞構造が存在、いわゆるハニカム構造を認めた。嚢胞は膵管とは非系統的であり、嚢胞内上皮の異形が強いことなどからPancreatic cancer (adenocarcinoma ; PDAC of large duct pattern)の診断に至っている。
討論のポイントとして次のように挙げる。①最終診断はPDAC of large duct patternの他に考え得るのか ②術前に診断をすることが可能であったのか
O-09 術後病理組織診断でPDAC of large duct pattern と最終診断に至った1例
○亀高 陽1)、岩尾 年康2)、薬師寺 直哉2)、駒澤 大輔2)、天野 穂高4)、日下部 崇3)
1)会津中央病院 初期研修医、2)会津中央病院 消化器科、3)会津中央病院 病理診断科、4)会津中央病院 肝胆膵外科
症例は85歳、女性。脂質異常症で前医通院中に血液検査でLDHの高値を認め、当院にCT検査依頼され受診となった。
画像所見上は、腹部超音波にて膵鈎部に腫瘤を認めた。造影CTにて、SMVへの浸潤を認める、20mm程度の腫瘤性病変を認め、内部は多房性の嚢胞成分が疑われた。MRIでは腫瘤内部は液体成分であり、腫瘤内で明らかな拡散抑制を認める部分はなかったが。MRCPでは主膵管に明らかな変化を認めなかった。EUSでも腫瘤内部は嚢胞性病変が中心であったが、MRI、CTと比較して嚢胞部分が少ない印象を受けた。腫瘤の辺縁よりFNAを施行した。FNAの結果はadenocarcinomaであった。このためERCPにて主膵管、分枝膵管の変化を確認したが、主膵管には異常はなく、鈎部の分枝は圧排性の変化および、軽度の拡張を認めたが、adenocarcinomaを確定する所見は認めなかった。
画像上、診断を絞り込めなかったが、膵癌の特殊型を想定して、SS-PPDを施行した。
術後の病理診断にて、腫瘤内の間質は繊維形成性で内部に小嚢胞構造が存在、いわゆるハニカム構造を認めた。嚢胞は膵管とは非系統的であり、嚢胞内上皮の異形が強いことなどからPancreatic cancer (adenocarcinoma ; PDAC of large duct pattern)の診断に至っている。
討論のポイントとして次のように挙げる。①最終診断はPDAC of large duct patternの他に考え得るのか ②術前に診断をすることが可能であったのか
