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【症例】75歳男性. 半年前から腹痛が出現しており当院受診となった. 腹部超音波画像検査にて膵体部に拡張膵管を伴う嚢胞性病変を認め, MRCPを施行したところ,膵体部に主膵管狭窄および尾側の主膵管拡張を認め,近傍に嚢胞性病変を認めた.早期膵癌を疑いDynamic CTを施行したが,明らかな腫瘤は指摘できず,EUSでは狭窄部近傍の膵管内に構造物を認めたがソナゾイドにて染影効果を認めずSludgeと考えられた.腫瘤の同定はできなかったが,主膵管上皮内病変を否定できない所見であり, ERPによる膵液細胞診を施行した. ERPでは膵体部主膵管に軽度の狭窄を認め,狭窄部の分枝膵管は造影されず,尾側膵管の拡張を認めた.膵液洗浄細胞診, 連続膵液細胞診では,顕著な核形不整や明瞭な核小体を有する細胞を認め腺癌の診断となった. 膵体部癌Clinical Tis N0 M0, Stage 0の診断で膵体尾部切除術の方針となった. 切除検体では狭窄部の主膵管を中心に尾側にかけて低〜高悪性度PanINの診断であり,膵管内腫瘤や膵実質等へ癌浸潤の所見はなかったが,狭窄部主膵管は線維性肥厚が著明であり,本症例の膵管狭窄および膵実質の萎縮の原因と考えられた.頭部側断端は陰性であり治癒切除を得られ,術後腹痛も改善した.
【検討項目】主膵管病変は非浸潤性であり腫瘤も認めなかったため,膵管狭窄の原因として膵管壁肥厚とした.PanIN病変で同様の狭窄や壁肥厚が生じ得るかご検討いただければ幸いです.
PS-4(O-13) 主膵管壁肥厚による膵管狭窄を契機に診断された膵体部High-grade PanINの一例
○松本 悠亮1)、佐藤 高光1)、山崎 雄馬1)、後藤 駿吾1)、川島 捺美1)、半田 裕太1)、井上 喬二郎1)、村田 依子1)、秦 康夫1)、窪田 賢輔2)、加藤 生真3)、栗山 仁1)
1)茅ヶ崎市立病院 消化器内科、2)横浜市立大学附属病院 内視鏡センター、3)横浜市立大学附属病院 病理部
【症例】75歳男性. 半年前から腹痛が出現しており当院受診となった. 腹部超音波画像検査にて膵体部に拡張膵管を伴う嚢胞性病変を認め, MRCPを施行したところ,膵体部に主膵管狭窄および尾側の主膵管拡張を認め,近傍に嚢胞性病変を認めた.早期膵癌を疑いDynamic CTを施行したが,明らかな腫瘤は指摘できず,EUSでは狭窄部近傍の膵管内に構造物を認めたがソナゾイドにて染影効果を認めずSludgeと考えられた.腫瘤の同定はできなかったが,主膵管上皮内病変を否定できない所見であり, ERPによる膵液細胞診を施行した. ERPでは膵体部主膵管に軽度の狭窄を認め,狭窄部の分枝膵管は造影されず,尾側膵管の拡張を認めた.膵液洗浄細胞診, 連続膵液細胞診では,顕著な核形不整や明瞭な核小体を有する細胞を認め腺癌の診断となった. 膵体部癌Clinical Tis N0 M0, Stage 0の診断で膵体尾部切除術の方針となった. 切除検体では狭窄部の主膵管を中心に尾側にかけて低〜高悪性度PanINの診断であり,膵管内腫瘤や膵実質等へ癌浸潤の所見はなかったが,狭窄部主膵管は線維性肥厚が著明であり,本症例の膵管狭窄および膵実質の萎縮の原因と考えられた.頭部側断端は陰性であり治癒切除を得られ,術後腹痛も改善した.
【検討項目】主膵管病変は非浸潤性であり腫瘤も認めなかったため,膵管狭窄の原因として膵管壁肥厚とした.PanIN病変で同様の狭窄や壁肥厚が生じ得るかご検討いただければ幸いです.
