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症例は60歳台女性、急性膵炎治療時に膵頭体移行部を中心とした実質の限局性萎縮と同部の分枝膵管拡張を指摘され精査目的にて当科へ紹介となった。MRCPでは実質の萎縮部に一致して主膵管に高度狭窄と尾側主膵管の拡張を認めるも、CE-CT, MRIでは膵実質に腫瘤像を指摘できなかった。EUSでは拡張した主膵管の頭側に4mm前後の周囲膵実質よりやや低エコーな領域を認め、Sonazoid注入後はhypovascular areaとして描出された。ERCPでは頭体移行部に高度な主膵管狭窄と拡張分枝が描出され、膵管生検および擦過細胞診にて腺癌細胞が検出された。膵管狭窄長よりも広範な実質萎縮部を認めることより、限局性膵炎あるいは微小浸潤を伴う上皮内癌と考え、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織所見では主膵管狭窄部を含め約35mm長の範囲で主膵管から分枝膵管内に高度の細胞異型を伴う上皮内腫瘍が拡がっていた。分枝膵管内では充満した篩状、充実様の構造異型を示す腫瘍細胞が充満し、Acinar-ductal metaplasia内部を置換することにより浸潤癌様の小型胞巣を形成していた。画像変化を組織像と対比すると、経過観察中に尾側膵管拡張が顕著となったが、病変の主座は分枝膵管に存在し、膵管像の変化と組織像が乖離した症例と考えられた。前回の研究会ではHigh grade PanIN病変として浸潤の有無が討議されたが、その後の免疫組織化学ならびに遺伝子変異解析により新知見を得たので再度報告する。
PS-6(O-15) 顕著な実質萎縮と分枝拡張所見を認めた膵管内腫瘍の1例
○長川 達哉1)、大森 優子2)、伊藤 泰斗2)、古川 徹2)、市原 真3)、田原 宗徳4)
1)札幌厚生病院 消化器内科、2)東北大学大学院医学系研究科 病態病理学分野、3)札幌厚生病院 病理診断科、4)札幌厚生病院 外科
症例は60歳台女性、急性膵炎治療時に膵頭体移行部を中心とした実質の限局性萎縮と同部の分枝膵管拡張を指摘され精査目的にて当科へ紹介となった。MRCPでは実質の萎縮部に一致して主膵管に高度狭窄と尾側主膵管の拡張を認めるも、CE-CT, MRIでは膵実質に腫瘤像を指摘できなかった。EUSでは拡張した主膵管の頭側に4mm前後の周囲膵実質よりやや低エコーな領域を認め、Sonazoid注入後はhypovascular areaとして描出された。ERCPでは頭体移行部に高度な主膵管狭窄と拡張分枝が描出され、膵管生検および擦過細胞診にて腺癌細胞が検出された。膵管狭窄長よりも広範な実質萎縮部を認めることより、限局性膵炎あるいは微小浸潤を伴う上皮内癌と考え、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理組織所見では主膵管狭窄部を含め約35mm長の範囲で主膵管から分枝膵管内に高度の細胞異型を伴う上皮内腫瘍が拡がっていた。分枝膵管内では充満した篩状、充実様の構造異型を示す腫瘍細胞が充満し、Acinar-ductal metaplasia内部を置換することにより浸潤癌様の小型胞巣を形成していた。画像変化を組織像と対比すると、経過観察中に尾側膵管拡張が顕著となったが、病変の主座は分枝膵管に存在し、膵管像の変化と組織像が乖離した症例と考えられた。前回の研究会ではHigh grade PanIN病変として浸潤の有無が討議されたが、その後の免疫組織化学ならびに遺伝子変異解析により新知見を得たので再度報告する。
