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O-17 嚢胞内に限局する感染を呈したIPNBの1例

○伊藤 凌、大沢 一希、森 雄貴、東 俊二郎、森田 敏広、栗山 勝利、高橋 健、八隅 秀二郎
医学研究所北野病院 消化器内科


 症例は62歳女性。発熱と右季肋部痛を主訴に当院を受診した。血液検査で肝胆道系酵素は正常であったが、炎症反応の上昇を認めた。腹部超音波検査で肝S4に内部に乳頭状隆起を伴う10cm大の嚢胞性病変を認めた。造影CTで嚢胞壁と内部の乳頭状隆起に造影効果を認めた。また外側区域枝と前区域枝の末梢胆管に拡張を認めた。肝嚢胞感染または嚢胞性腫瘍内感染を疑い、経皮経肝ドレナージを施行した。ドレナージ排液は粘稠で、細胞診では悪性を疑う所見であった。
 感染が落ち着いた段階で撮影したMRIでは、T2WIで高信号の液体を含む嚢胞性病変で、嚢胞壁に拡散制限を認めた。MRCPでは、外側区域枝と前区域枝の拡張を認めたが、嚢胞性病変と肝内胆管との交通は同定されなかった。ERCで左肝管は描出されず、外側区域枝の拡張を認めた。造影超音波検査では初診時のCTと同様に、嚢胞壁と乳頭状隆起に造影効果を認めた。
 以上の所見からIPNBもしくはMCNの感染合併と診断し、門脈塞栓術後に肝左三区域切除術+胆道再建を施行した。病理診断は、嚢胞型肝内IPNB, high-grade intraepithelial neoplasiaで、病理像で嚢胞性病変と末梢胆管の交通を認めた。
 初診時の画像でIPNBと診断可能であるか、術前画像で病変と胆管の交通を指摘可能かについて、御検討頂きたい。