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患者は70代男性。黄疸のため前医を受診。膵頭部癌が疑われ、胆道ドレナージ後に当院へ紹介。血液検査ではCEA、CA19-9は正常範囲、IgG 2274mg/dL、IgG4 626.0mg/dLと高値であった。腹部USでは膵頭部に境界不明瞭・輪郭不整で内部やや不均一な40mmの低エコー領域を認めた。腹部CTでは同部位に低吸収域を認め、主膵管狭窄、体尾部萎縮を認めた。MRI拡散強調像では膵頭部に拡散制限を認めた。EUSでは同領域内で主膵管はpenetratingの所見を認めた。膵外の所見として、腹部CTで遠位胆管の全周性壁肥厚、腹部大動脈周囲に軟部影を認めた。
これらよりAIP、IgG4関連疾患が最も疑われたが、膵頭部癌の否定のためEUS-TAを施行。4穿刺1検体からAdenocarcinomaが検出され、他の3検体は慢性炎症の所見であった。画像所見より膵頭部癌(cT2N0M0)と術前診断し、術前化学療法後に膵頭十二指腸切除術が行われた。手術検体の病理所見では、高度なリンパ球浸潤、多数のIgG4陽性形質細胞浸潤、閉塞性静脈炎を認めAIPの診断となった。また、胆管壁にも硬化性胆管炎の所見を認め、さらに膵内胆管に10mm長の上皮内癌の併存を認めた。最終診断はAIPとIgG4関連硬化性胆管炎に合併した遠位胆管癌(pTisN0M0)となった。
AIPと悪性腫瘍の関連は、慢性炎症に伴う発癌や、腫瘍随伴症候群によるAIP発症機序が考えられている。本症例における胆管癌とAIPの関連性、術前に胆管癌の診断が可能であったかなどご議論頂きたい。
O-18 自己免疫性膵炎・IgG4関連硬化性胆管炎に胆管上皮内癌を合併した一例
○東江 大樹1)、丸木 雄太1)、大場 彬博1)、永塩 美邦1)、肱岡 範1)、奥坂 拓志1)、奈良 聡2)、江崎 稔2)、平岡 伸介3)
1)国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科、2)国立がん研究センター中央病院 肝胆膵外科、3)国立がん研究センター中央病院 病理診断科
患者は70代男性。黄疸のため前医を受診。膵頭部癌が疑われ、胆道ドレナージ後に当院へ紹介。血液検査ではCEA、CA19-9は正常範囲、IgG 2274mg/dL、IgG4 626.0mg/dLと高値であった。腹部USでは膵頭部に境界不明瞭・輪郭不整で内部やや不均一な40mmの低エコー領域を認めた。腹部CTでは同部位に低吸収域を認め、主膵管狭窄、体尾部萎縮を認めた。MRI拡散強調像では膵頭部に拡散制限を認めた。EUSでは同領域内で主膵管はpenetratingの所見を認めた。膵外の所見として、腹部CTで遠位胆管の全周性壁肥厚、腹部大動脈周囲に軟部影を認めた。
これらよりAIP、IgG4関連疾患が最も疑われたが、膵頭部癌の否定のためEUS-TAを施行。4穿刺1検体からAdenocarcinomaが検出され、他の3検体は慢性炎症の所見であった。画像所見より膵頭部癌(cT2N0M0)と術前診断し、術前化学療法後に膵頭十二指腸切除術が行われた。手術検体の病理所見では、高度なリンパ球浸潤、多数のIgG4陽性形質細胞浸潤、閉塞性静脈炎を認めAIPの診断となった。また、胆管壁にも硬化性胆管炎の所見を認め、さらに膵内胆管に10mm長の上皮内癌の併存を認めた。最終診断はAIPとIgG4関連硬化性胆管炎に合併した遠位胆管癌(pTisN0M0)となった。
AIPと悪性腫瘍の関連は、慢性炎症に伴う発癌や、腫瘍随伴症候群によるAIP発症機序が考えられている。本症例における胆管癌とAIPの関連性、術前に胆管癌の診断が可能であったかなどご議論頂きたい。
