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症例は80歳代女性。X年、健診の腹部超音波検査で左肝内胆管拡張を指摘され当科紹介受診。MRCPで左肝管に10mm程の滑らかな狭窄を認め、上流胆管と分枝の拡張を伴っていた。その後は半年ごとに画像フォローを継続した。X+3年、腹部超音波検査で拡張した左肝内胆管内に結節様の構造物が新出した。造影CTでは左肝管に分枝拡張を伴う狭窄を認めたが明らかな腫瘍性病変は認めなかった。MRCPでは左肝管は平滑かつ先細り様に狭窄し狭窄上流の拡張した胆管内に10×5mm大の楕円形の低信号結節を認めた。胆管造影では左肝管は先細り様に狭窄し狭窄の上流は造影されなかったが、胆汁細胞診ではClassⅣ相当の異型細胞を認めた。右肝管から総胆管は胆管造影で壁不整は認めずIDUSでも壁肥厚は認めなかった。以上より左肝内胆管癌と術前診断し左肝切除術を施行した。病理診断では狭窄部にhigh-grade相当の異型上皮を認め、上皮下にエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプターの発現を伴う紡錘状細胞が集簇した間質(卵巣様間質)を認め、粘液性嚢胞腺癌(Mucinous cyst neoplasm (MCN) with high-grade intraepithelial neoplasia)と最終診断した。拡張した左肝内胆管に腫瘍性病変は認めず腹部超音波検査とMRCPで描出された構造物は粘液と考えられた。本症例は嚢胞形成に乏しかったものの卵巣様間質を伴っていたためMCNと診断した。最終診断の妥当性、画像所見と病理組織の対比についてご検討頂きたい。
P-01 診断に難渋した肝内胆管狭窄の1例
○奥脇 徹也1)、深澤 佳満1)、深澤 光晴1)、高野 伸一
1)、川上 智1)、倉富 夏彦1)、原井 正太1)、川井田 博充
2)、榎本 信幸1)
1)山梨大学 消化器内科、2)山梨大学 消化器外科
症例は80歳代女性。X年、健診の腹部超音波検査で左肝内胆管拡張を指摘され当科紹介受診。MRCPで左肝管に10mm程の滑らかな狭窄を認め、上流胆管と分枝の拡張を伴っていた。その後は半年ごとに画像フォローを継続した。X+3年、腹部超音波検査で拡張した左肝内胆管内に結節様の構造物が新出した。造影CTでは左肝管に分枝拡張を伴う狭窄を認めたが明らかな腫瘍性病変は認めなかった。MRCPでは左肝管は平滑かつ先細り様に狭窄し狭窄上流の拡張した胆管内に10×5mm大の楕円形の低信号結節を認めた。胆管造影では左肝管は先細り様に狭窄し狭窄の上流は造影されなかったが、胆汁細胞診ではClassⅣ相当の異型細胞を認めた。右肝管から総胆管は胆管造影で壁不整は認めずIDUSでも壁肥厚は認めなかった。以上より左肝内胆管癌と術前診断し左肝切除術を施行した。病理診断では狭窄部にhigh-grade相当の異型上皮を認め、上皮下にエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプターの発現を伴う紡錘状細胞が集簇した間質(卵巣様間質)を認め、粘液性嚢胞腺癌(Mucinous cyst neoplasm (MCN) with high-grade intraepithelial neoplasia)と最終診断した。拡張した左肝内胆管に腫瘍性病変は認めず腹部超音波検査とMRCPで描出された構造物は粘液と考えられた。本症例は嚢胞形成に乏しかったものの卵巣様間質を伴っていたためMCNと診断した。最終診断の妥当性、画像所見と病理組織の対比についてご検討頂きたい。
