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P-02 胆管狭窄を認めたCIS胆管癌の一例

○鈴木 健太、深見 保之、大澤 高陽、国友 愛奈、福山 貴大、原田 正晴、松村 卓樹、齋藤 卓也、小松 俊一朗、金子 健一郎、佐野 力
愛知医科大学 消化器外科


 症例は85歳女性.定期検査で施行したCTにて胆管拡張を認め当院紹介となった.CTでは左胆管に狭窄を認め末梢胆管は拡張していた.洞不全症候群に対してペースメーカー留置されていたためMRI撮影はできず、Vater乳頭直上に十二指腸憩室が存在したためERCPも施行できず胆管精査は施行不可であった.腫瘍マーカーはCEA:2.5ng/ml CA19-9:8U/mlと上昇はなかった.ICG K:0.199と肝機能は良好であり肝門部胆管癌の疑いで肝左葉切除・胆管切除・胆道再建術を施行した.手術時間346分、出血488mlで術中トラブルはなく終了した.術後は胃排泄遅延を認めたが次第に軽快し術後18日目に退院となった.摘出標本の病理組織学的検査では肝門部胆管の全領域に渡って異形細胞を認めたがAdenocarcinoma in situの像であり明らかな間質浸潤像は認めなかった.線維化・瘢痕化の所見にも乏しく胆管狭窄を引き起こした原因は不明であった.
 広範なin situ 胆管癌において胆管周囲の付属腺が閉塞することで炎症・瘢痕化を引き起こす.これにより胆管狭窄を来した症例報告は散見されるが本症例では狭窄を起こす程の線維化は認めなかった.そこで本症例において狭窄の原因となる病理所見が存在するかご教授いただきたい.