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P-03 Conversion手術を施行した局所進行膵神経内分泌癌の一例

○坂本 拡基1)、石渡 裕俊1)、久保 秀正2)、杉浦 禎一2)、大池 信之3,4)、野呂瀬 朋子3,4)、佐藤 純也1)、蘆田 良2)、山田 美保子2)、上坂 克彦2)
1)静岡がんセンター 内視鏡科、2)静岡がんセンター 肝胆膵外科、3)静岡がんセンター 病理診断科、4)聖マリアンナ医科大学 病理学講座


【緒言】膵神経内分泌癌(PanNEC)は極めて予後不良であり外科的切除の意義や有効な薬物治療は未だ明らかではない。今回、局所進行切除不能PanNECに対して化学療法が著効し、Conversion手術を施行した1例を経験した。
【症例】72歳、女性。体重減少を契機に膵頭部腫瘍を指摘され当科紹介となった。CTで32mm大の内部低吸収域を伴う不均一に造影される腫瘍が総肝動脈から脾動脈に広く接触しており、EUS-FNBで小細胞型の神経内分泌癌が検出され、局所進行切除不能PanNECと診断した。カルボプラチン+エトポシド療法を7コース施行したところ、腫瘍は8mm大に著明に縮小し、Conversion手術として膵頭十二指腸切除を施行した。術後合併症なく、術後16日目に軽快退院した。切除標本の組織学的検討では、先行病変と思われる膵管系の上皮内癌が確認された。またFNB検体とは異なり大細胞型のNEC成分のみが確認され、小細胞癌は消滅し化学療法抵抗性の大細胞成分の残存が示唆された。さらに通常PanNECには見られないSSTR2の膜発現がびまん性に明瞭に認められた。現在術後4か月、同一レジメンで補助化学療法を行い無再発生存中である。
【結語】PanNECに対してConversion手術を施行した症例を経験した。組織学的検討により、その発生や有効な治療法の示唆が得られたため報告する。