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P-04 EUS-FNAで診断可能であった主膵管狭窄を伴うセロトニン産生型神経内分泌腫瘍の1例

○平昭 衣梨1)、池田 守登1)、津島 健1)、清水 晃典1)、小野川 靖二1)、平野 巨通1)、花田 敬士1)、大下 彰彦2)、米原 修治3)
1)JA尾道総合病院 消化器内科、2)JA尾道総合病院 外科、3)JA尾道総合病院 病理研究検査科


 症例は59歳女性。近医にて健診目的で施行した腹部エコーで主膵管拡張を認め、MRCPを撮像。膵体部主膵管の途絶、同部より尾側の嚢状主膵管拡張と著明な膵実質萎縮を認めたため当院へ紹介となった。CEA、CA19-9、DUPAN-2は基準値範囲内であったが、造影CTで拡張膵管の頭側に膵実質と等吸収で造影早期~平衡相にかけて造影効果を呈する7mm大の腫瘍を認めた。EUSでは低エコーで境界明瞭、内部均一な腫瘤として描出された。確定診断のためEUS-FNAを施行したところ、線維性結合組織からなる豊富な間質を伴う小型裸核状細胞を認め、免疫染色ではChromagranin A、Synaptophysin、Serotonin陽性で、Ki-67 labeling index は5%であり、セロトニン産生型PanNEN G2と診断された。明らかな遠隔転移はなく手術の方針となった。
 セロトニン産生型PanNENは一般的に多血性腫瘍だが、主膵管狭窄を伴う場合は浸潤性膵管癌との鑑別が必要となるが、腫瘍径が10 mm以下の場合はEUS-FNAの正診率が低下するとの報告があり、その原因として強い線維化が挙げられている。自験例でも穿刺吸引液の細胞診では線維化結合織が豊富に認められた。穿刺時の注意点や、EUS-FNAで診断できなかった場合の次善策などについてご検討いただきたい。