室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。


P-05 主膵管狭窄を来したSerotonin陰性膵神経内分泌腫瘍(NET G1)の症例

○三輪田 哲郎1)、山田 玲子1)、村田 泰洋2)、林 昭信3)、福井 俊介1)、野瀬 賢治1)、田中 隆光1)、中村 佳史1)、坪井 順哉1)、中川 勇人1)
1)三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科、2)三重大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科、3)三重大学医学部附属病院 病理診断科


 症例は54歳男性.前医のCTで膵体部付近の主膵管狭窄と尾側膵管の拡張及び尾側膵実質の萎縮を認めたため当科紹介となった.血液検査上,血清アミラーゼ172U/L,血清リパーゼ72U/Lと軽度高値だが,CEAは1.7ng/ml,CA19-9は13U/mlと正常であった.造影CTで膵体部に直径6.5㎜程度の早期~膵実質相で濃染する腫瘤性病変を認め主膵管は同部で狭窄を呈し,狭窄部の尾側は主膵管拡張と膵実質の萎縮を伴っていた.MRI上腫瘤性病変はT1W1・T2W2・DWIでいずれも等信号であった.MRCPも膵体部の主膵管狭窄と尾側膵管の拡張を認めた.EUSで膵体部に辺縁整な低エコー腫瘤を認め,膵管は腫瘤部で途絶し尾側膵管は拡張していた.ソナゾイド造影を施行した所,腫瘍は遅延性に染影された.ERCPでは膵体部で主膵管が途絶し尾側膵管は全く造影されなかった.EUS-FNAで腫瘤生検をしたところ神経内分泌腫瘍を疑うものであった.主膵管拡張を伴っており膵癌が混在している可能性も否定できなかったため脾温存膵体尾部切除術を行った.腫瘍は8㎜程度で類円形から楕円形の核と淡好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞が小型胞巣状に増殖しており,Synaptophysin(+),ChromograninA(+),CD56/NCAM(+),MIB-1 index:2%未満で神経内分泌腫瘍(NET G1)の診断となった.Serotoninは陰性であった.Serotonin陰性の膵神経内分泌腫瘍で主膵管狭窄を伴う症例はあまり報告がない.術前診断の妥当性や主膵管狭窄を呈した機序などご討議いただきたい.