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【症例】66歳女性。CTで膵腫瘍が疑われ、当科へ紹介となった。IgG4 19mg/dL, CEA 3.2ng/mL, CA19-9 10.9U/ml。カテコラミン過剰症状はなかった。
【画像所見】CTでは膵頭部に中心部に壊死様の液体貯留を伴う径38mmの充実性腫瘤を認めた。MRIで腫瘤辺縁の充実部はT1強調等信号、T2強調低信号、拡散強調で高信号に描出され、中心部はT1強調低信号、T2強調高信号であった。腫瘍辺縁は動脈相で濃染され、後期相まで造影効果が遷延した。EUSでは境界明瞭、辺縁整な低エコー腫瘤で、内部は比較的均一、びまん性に点状高エコーがみられた。中心部には小~中の嚢胞が集簇していた。Doppler評価で充実部に血流が豊富でFNAは断念した。主膵管の口径不同は認めなかった。
【経過】嚢胞変性を伴う膵神経内分泌腫瘍を疑い、膵頭十二指腸切除術を予定した。術中、膵頭部から十二指腸の背側に下大静脈と腹部大動脈に挟まれた径6cmの腫瘤を確認したが、膵実質との連続性はなかった。後腹膜腫瘍の疑いで腫瘍核出術を施行した。
【術後病理診断】腫瘤は線維性の被膜様構造で被包され、やや大型で軽度の多形成を示す核と、好酸性細顆粒状で豊富な細胞質を占める腫瘍細胞が髄様に増殖していた。腫瘍中央部は広範囲で変性・出血し嚢胞構造を形成していた。Ki-67陽性率1%未満。これらより後腹膜paragangliomaと診断した。
【結語】膵神経内分泌腫瘍との鑑別を要した後腹膜paragangliomaの一例を経験したので報告する。
P-07 膵神経内分泌腫瘍との鑑別を要した後腹膜paragangliomaの一例
○佐藤 綾子、小林 克誠、山田 優里奈、大科 枝里、松岡 愛菜、野坂 崇仁、矢内 真人、古本 洋平、東 正新
東京都立墨東病院 消化器内科
【症例】66歳女性。CTで膵腫瘍が疑われ、当科へ紹介となった。IgG4 19mg/dL, CEA 3.2ng/mL, CA19-9 10.9U/ml。カテコラミン過剰症状はなかった。
【画像所見】CTでは膵頭部に中心部に壊死様の液体貯留を伴う径38mmの充実性腫瘤を認めた。MRIで腫瘤辺縁の充実部はT1強調等信号、T2強調低信号、拡散強調で高信号に描出され、中心部はT1強調低信号、T2強調高信号であった。腫瘍辺縁は動脈相で濃染され、後期相まで造影効果が遷延した。EUSでは境界明瞭、辺縁整な低エコー腫瘤で、内部は比較的均一、びまん性に点状高エコーがみられた。中心部には小~中の嚢胞が集簇していた。Doppler評価で充実部に血流が豊富でFNAは断念した。主膵管の口径不同は認めなかった。
【経過】嚢胞変性を伴う膵神経内分泌腫瘍を疑い、膵頭十二指腸切除術を予定した。術中、膵頭部から十二指腸の背側に下大静脈と腹部大動脈に挟まれた径6cmの腫瘤を確認したが、膵実質との連続性はなかった。後腹膜腫瘍の疑いで腫瘍核出術を施行した。
【術後病理診断】腫瘤は線維性の被膜様構造で被包され、やや大型で軽度の多形成を示す核と、好酸性細顆粒状で豊富な細胞質を占める腫瘍細胞が髄様に増殖していた。腫瘍中央部は広範囲で変性・出血し嚢胞構造を形成していた。Ki-67陽性率1%未満。これらより後腹膜paragangliomaと診断した。
【結語】膵神経内分泌腫瘍との鑑別を要した後腹膜paragangliomaの一例を経験したので報告する。
