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P-08 経過観察中にリンパ節転移をきたした小pNENの1例

○岡野 春香、菅野 良秀、越田 真介、小川 貴央、楠瀬 寛顕、酒井 利隆、與那嶺 圭輔、宮本 和明、小堺 史郷、伊藤 啓
仙台市医療センター 仙台オープン病院 消化管・肝胆膵内科


 症例は80歳男性.USで膵体部に9 mm大の円形低エコー腫瘤を指摘された.腫瘤は造影CT検査およびMRI検査で指摘困難であった.EUSではDoppler法で内部血流が豊富な腫瘤であり,膵神経内分泌腫瘍の疑いで経過観察する方針となった.8年間変化を認めなかったが,9年後の定期経過観察時のUSで10mmとわずかに増大し,近傍の膵外に17mm大の低エコー腫瘤が出現した.造影CT検査では,膵体部腫瘤は周囲膵実質よりわずかに造影効果の強い領域として観察され,その背側に隣接して同様の造影効果を呈する17mm大の腫瘤を認めた.造影MRI検査では,膵体部腫瘤および背側の腫瘤はともにT1低信号,T2軽度高信号で拡散強調像では拡散低下を示していた.EUSでは,膵体部腫瘤と近傍の腫瘤は接して観察され,いずれもソナゾイド造影で周囲膵実質と同等の造影効果を示した.両病変に対してEUS-FNBを施行したところ,NET G2 (Ki67LI 4%)の診断で,膵体尾部切除術を施行した.最終病理診断でも同様にNET G2(Ki67LI 5%)の診断で,隣接腫瘤はリンパ節転移であり,T1bN1M0 pStage IIBであった.術後3か月無再発生存中である.
 初回指摘時に9mm大で,9年後に軽度増大とリンパ節転移を生じたpNENを経験した.小pNENの指摘診療方針を検討する上で貴重と考え報告する.