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症例は50代女性。2019年8月に健康診断の腹部超音波検査で膵尾部の嚢胞性病変を指摘され、当院に紹介された。MRCPおよびEUSにて、膵尾部に20mm大の主膵管と極めて近接する多房性嚢胞性病変として描出され、分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)が疑われた。半年に一回のMRCPで経過観察をしていたが、2022年3月のMRCPおよび腹部dynamic CTにて嚢胞性病変が突如消失した。EUSを行うと、嚢胞性病変があった部位に7mm大の境界明瞭、辺縁整な低エコー腫瘤を認めた。ソナゾイド造影では、腫瘤内部は早期からやや不均一にiso ~ hyper vascularに造影された。EUS-FNBを施行したところ、組織学的に軽度の異型細胞が認められ、Synaptophysinおよび Chromogranin A染色に陽性を示したが、採取された異型細胞はごく少数であったため、神経内分泌腫瘍とラ氏島との鑑別は困難であった。膵神経内分泌腫瘍(PNEN)やIPMNの悪性化を疑い、腹腔鏡下膵尾部切除術を行なった。手術検体の肉眼所見は膵体部に境界明瞭な灰白色調の8mm大の小結節を認め、病理組織学的には、漿液性嚢胞腺腫(SCN)の診断となった。
検討したいポイント: このようなSCNの形態変化の原因や、また術前に診断可能であったか。
P-09 3年の経過で充実性腫瘤へと変化したSCNの一例
○小嶋 啓之、殿塚 亮祐、土屋 貴愛、田中 麗奈、向井 俊太郎、永井 一正、山本 健治郎、松波 幸寿、南 裕人、浅野 響子
東京医科大学 臨床医学系消化器内科学分野
症例は50代女性。2019年8月に健康診断の腹部超音波検査で膵尾部の嚢胞性病変を指摘され、当院に紹介された。MRCPおよびEUSにて、膵尾部に20mm大の主膵管と極めて近接する多房性嚢胞性病変として描出され、分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)が疑われた。半年に一回のMRCPで経過観察をしていたが、2022年3月のMRCPおよび腹部dynamic CTにて嚢胞性病変が突如消失した。EUSを行うと、嚢胞性病変があった部位に7mm大の境界明瞭、辺縁整な低エコー腫瘤を認めた。ソナゾイド造影では、腫瘤内部は早期からやや不均一にiso ~ hyper vascularに造影された。EUS-FNBを施行したところ、組織学的に軽度の異型細胞が認められ、Synaptophysinおよび Chromogranin A染色に陽性を示したが、採取された異型細胞はごく少数であったため、神経内分泌腫瘍とラ氏島との鑑別は困難であった。膵神経内分泌腫瘍(PNEN)やIPMNの悪性化を疑い、腹腔鏡下膵尾部切除術を行なった。手術検体の肉眼所見は膵体部に境界明瞭な灰白色調の8mm大の小結節を認め、病理組織学的には、漿液性嚢胞腺腫(SCN)の診断となった。
検討したいポイント: このようなSCNの形態変化の原因や、また術前に診断可能であったか。
