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症例は77歳男性。腫瘍マーカー高値のため精査を行った。CTでは、膵体部に20×12mmの造影効果の乏しい結節を認めた。尾側膵管は拡張し膵実質は萎縮していた。MRCPでは、体部主膵管は途絶し、その尾側に貯留嚢胞と主膵管拡張を認めた。DWIで途絶部に高信号域を認めた。通常型膵癌を第一に疑い、腫瘍の局在診断のためEUSを施行した。体部に23mmの等エコー結節を認め、尾側主膵管は拡張していた。ソナゾイド造影ではisoehoicで均一な造影効果を示した。また頭部主膵管は軽度拡張し、内部に粘液の存在が示唆された。病変主座は主膵管内と考え主膵管型IPMNと診断し、FNAは施行せずERPを施行した。ERPでは体部に造影欠損を認め、尾側主膵管は拡張していた。膵管鏡では造影欠損部に一致して充実性の乳頭状隆起性病変を認め、生検結果はadenocarcinomaであった。以上より術前診断は膵体部の主膵管型IPMCとして、膵中央区域切除が施行された。切除標本の肉眼像では主膵管内の頭部側に充実性~乳頭状腫瘤が充満していた。主膵管内に腫瘍細胞が乳頭状増殖し、最終病理診断はIPMC(high grade dysplasia)であった。切除断端は、high grade相当の病変は陰性だったが、low grade相当の病変は切除断端まで進展していた。通常型膵癌を鑑別に挙げ、EUS所見から主膵管型IPMCを疑いERP/膵管鏡で確定診断した一例を経験した。EUSによる画像及び病理診断、切除範囲の評価が妥当であったかご討議いただきたい。
P-12 局在診断に造影EUSが有用であった主膵管型IPMCの一例
○緒方 智樹1)、栗田 裕介1)、八木 伸1)、長谷川 翔1)、細野 邦広1)、伊藤 絢子2)、山中 正二2)、中島 淳1)、遠藤 格3)、窪田 賢輔1)
1)横浜市立大学医学部附属病院 肝胆膵消化器病学、2)横浜市立大学医学部附属病院 病理診断科、3)横浜市立大学医学部附属病院 消化器腫瘍外科学
症例は77歳男性。腫瘍マーカー高値のため精査を行った。CTでは、膵体部に20×12mmの造影効果の乏しい結節を認めた。尾側膵管は拡張し膵実質は萎縮していた。MRCPでは、体部主膵管は途絶し、その尾側に貯留嚢胞と主膵管拡張を認めた。DWIで途絶部に高信号域を認めた。通常型膵癌を第一に疑い、腫瘍の局在診断のためEUSを施行した。体部に23mmの等エコー結節を認め、尾側主膵管は拡張していた。ソナゾイド造影ではisoehoicで均一な造影効果を示した。また頭部主膵管は軽度拡張し、内部に粘液の存在が示唆された。病変主座は主膵管内と考え主膵管型IPMNと診断し、FNAは施行せずERPを施行した。ERPでは体部に造影欠損を認め、尾側主膵管は拡張していた。膵管鏡では造影欠損部に一致して充実性の乳頭状隆起性病変を認め、生検結果はadenocarcinomaであった。以上より術前診断は膵体部の主膵管型IPMCとして、膵中央区域切除が施行された。切除標本の肉眼像では主膵管内の頭部側に充実性~乳頭状腫瘤が充満していた。主膵管内に腫瘍細胞が乳頭状増殖し、最終病理診断はIPMC(high grade dysplasia)であった。切除断端は、high grade相当の病変は陰性だったが、low grade相当の病変は切除断端まで進展していた。通常型膵癌を鑑別に挙げ、EUS所見から主膵管型IPMCを疑いERP/膵管鏡で確定診断した一例を経験した。EUSによる画像及び病理診断、切除範囲の評価が妥当であったかご討議いただきたい。
