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P-13 IPMN経過観察中に発見された膵微小浸潤癌の一例

○小林 郁美1)、小林 陽介1)、海野 修平1)、木全 政晴1)、芳澤 社1)、室久 剛1)、長澤 正通1)、細田 佳佐1)、山本 博崇2)、大月 寛郎3)
1)聖隷浜松病院 消化器内科、2)聖隷浜松病院 肝胆膵外科、3)聖隷浜松病院 病理診断科


 70歳代女性。X-5年から他院で膵頭部分枝型IPMNを経過観察中であった。X年3月MRIで膵体部に膵管狭窄を認め紹介となった。Amy 97U/L、CEA 3.44ng/mL、CA19-9 3.9U/mL。腹部USでは、膵頭部に多房性嚢胞を認め、膵体尾部主膵管は軽度拡張していた。造影CTでは、膵頭部嚢胞は2cm大であり、膵体部膵実質は萎縮し、膵体尾部主膵管は軽度拡張(径3mm)していた。MRIでは、膵体部主膵管は狭窄し、尾側膵管は拡張し、分枝膵管も拡張していた。EUSでは、膵管狭窄の原因となる腫瘤は認めず、膵頭部嚢胞内にも結節は認めなかった。ERPでは、膵体部主膵管は限局性に狭窄し、尾側膵管が拡張していた。連続膵液細胞診では疑陽性(5/6回)であり、腺癌が否定できない所見であった。以上から、膵上皮内癌が考慮され、膵体尾部脾臓合併切除術を施行した。術後標本造影では、切除断端付近に長径7mmの膵管狭窄を認め、造影所見を指標に切り出しを行った。病理所見では、膵管狭窄部を中心に主膵管、周囲の分枝膵管に高異型度膵上皮内腫瘍(HG-PanIN)が散見された。狭窄部主膵管近傍の間質内には最大0.3mmの浸潤癌を2ヶ所認めた。また、主膵管周囲には線維化を伴っており膵管狭窄の原因と考えられた。HG-PanINを背景に、わずかな微小浸潤癌を認めた症例であった。PanINと浸潤癌との関係性も含め議論頂きたい。