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P-14 長期経過観察ののち切除したIPMNを背景とした浸潤性粘液癌の1例

○細部 大貴1)、北川 裕久1)、増井 俊彦1)、武藤 純1)、斎藤 尚子1)、河本 和幸1)、石田 悦嗣2)、能登原 憲司3)
1)倉敷中央病院 外科、2)倉敷中央病院 消化器内科、3)倉敷中央病院 病理診断科


【症例】66歳、女性、20XX-9年、原発性肺癌(papillary adenocarcinoma, non-mucinous)に対して左下葉切除術を施行した。20XX-7年、肝転移再発に対して化学療法を2年間継続し完全緩解が得られ、再発なく経過していた。20XX-2年経過観察中のCT検査で主膵管の拡張を認め外科紹介となった。
【画像】20XX-2年、CT、MRIで膵尾部を中心に主膵管拡張(10mm)、分枝膵管の集族性拡張を認めた。閉塞基点や明らかな占拠性病変は認めず、混合型IPMNと診断された。EUSで集族性嚢胞内に隔壁の肥厚を認め、膵液細胞診検査でClassⅢであった。20XX-1年、CT、MRIで主膵管拡張の進行(13㎜)、集族性嚢胞の増大を認めたため、膵体尾部切除を行った。
【病理】分葉状に粘液貯留をきたした腫瘍を認めた。粘液湖の辺縁に異型細胞が柵状に配列した部分はIPMNの成分、粘液湖の中に印環細胞が浮遊する部分は浸潤癌の成分と考えたが、IPMNと浸潤癌の境界は不明瞭であった。免疫染色の結果(MUC1-, MUC2++, MUC5AC++, MUC6+)から、腸型IPMN由来の粘液癌と診断した。
【検討】本症例はIPMCから膵実質へ広く浸潤する粘液癌に進展したと考えられ、長期にわたる経過観察ののちに切除されている。病理学的に、①膵管内病変(IPMN)と浸潤癌の区別はできるか、どのような浸潤形態と考えられるか、また臨床的に、②後方視的にどの時点での切除が理想的であったのか、を検討していただきたいと考えております。