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症例は50歳台女性。心窩部痛で他院を受診され、CTで膵尾部腫瘍を認め当院受診となった。Dynamic CTで、膵尾部に60mm大の膵実質相で造影効果に乏しく、門脈相で遅延性の造影効果を認める境界明瞭な腫瘍性病変を認めた。EUSでは中心高エコー、辺縁低エコーを呈する腫瘍として描出された。EUS-FNAでは、クロマチンの増加した類円形核と好酸性細胞質を有する腫瘍細胞が採取され、一部乳頭状の構造を呈していた。免疫染色でβ-catenin(核+)、chromogranin A(-)、Ki67-LI 4%で、solid pseudopapillary neoplasm (SPN)と診断され、膵体尾部脾合併切除術を施行した。切除標本は術前診断と同様にSPNの所見であったが、段階的な細胞異型の上昇がみられ、最も異型度の強い領域では核分裂像が多数(55/10HPF)観察され、Ki67-LIが70%と上昇していた。最終的に高度悪性転化を伴うSPNと診断した。術後4ヶ月のCTで多発肝転移が出現し、術後約5ヶ月で死亡された。
SPNの高度悪性転化は非常に稀かつ特異な現象であり、画像診断、病理所見、進展機序について御討議させていただきたい。
P-17 Malignant Solid Pseudopapillary Neoplasmの1例
○桑原 崇通1)、原 和生1)、水野 伸匡1)、羽場 真1)、奥野 のぞみ1)、夏目 誠治2)、細田 和貴3)、清水 泰博2)
1)愛知県がんセンター 消化器内科部、2)愛知県がんセンター 消化器外科部、3)愛知県がんセンター 遺伝子病理診断部
症例は50歳台女性。心窩部痛で他院を受診され、CTで膵尾部腫瘍を認め当院受診となった。Dynamic CTで、膵尾部に60mm大の膵実質相で造影効果に乏しく、門脈相で遅延性の造影効果を認める境界明瞭な腫瘍性病変を認めた。EUSでは中心高エコー、辺縁低エコーを呈する腫瘍として描出された。EUS-FNAでは、クロマチンの増加した類円形核と好酸性細胞質を有する腫瘍細胞が採取され、一部乳頭状の構造を呈していた。免疫染色でβ-catenin(核+)、chromogranin A(-)、Ki67-LI 4%で、solid pseudopapillary neoplasm (SPN)と診断され、膵体尾部脾合併切除術を施行した。切除標本は術前診断と同様にSPNの所見であったが、段階的な細胞異型の上昇がみられ、最も異型度の強い領域では核分裂像が多数(55/10HPF)観察され、Ki67-LIが70%と上昇していた。最終的に高度悪性転化を伴うSPNと診断した。術後4ヶ月のCTで多発肝転移が出現し、術後約5ヶ月で死亡された。
SPNの高度悪性転化は非常に稀かつ特異な現象であり、画像診断、病理所見、進展機序について御討議させていただきたい。
