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【概要】膵充実性偽乳頭状腫瘍solid pseudopapillary neoplasm(以下SPN)は,膵腫瘍の約1~3%を占める稀な腫瘍であり,若年女性の膵体尾部に好発する.今回,精巣形成不全のある男性に発生した膵尾部SPNを経験したため報告する.
【症例】50歳男性,検診USで膵腫瘤を指摘され受診した.既往に精巣形成不全を認めた.腹部CTで膵尾部に25mm大の腫瘤を認め,動脈相で不均一な弱い造影効果を示し,漸増性に濃染する.内部に石灰化はみられない.腹部MRIでT1WI低信号,T2WI高信号で内部に小嚢胞あり,拡散制限はみられない.主膵管狭窄および上流拡張はない.EUSでは境界明瞭で不均一な低エコー結節として描出され,ソナゾイド造影で周囲膵実質に比べ造影効果は弱い.FNAを施行しAcquireTM 22Gで2回穿刺した.病理診断で好酸性の細胞質を持つ小型で均一な腫瘍細胞が浮遊し,免疫染色では、Synaptophysin陽性,PgR一部陽性,β-cateninの核内集積がみられ,SPNが疑われた.MIB-1陽性細胞はみられない.膵体尾部切除術を施行し,肉眼的に28mm大の被膜構造を有する淡褐色充実性腫瘍を認め,一部に嚢胞や小出血巣がみられる.組織学的および免疫組織学的には上述と同様であり,SPNの診断とした.術後,再発なく経過している.
【討論点】①FNAで診断した25mm大のSPNで,悪性所見が疑われない症例に対し,外科的治療が妥当であったか.②精巣形成不全が発生に関与した可能性は考えられるか.
P-18 精巣形成不全の男性に発生した膵尾部solid pseudopapillary neoplasmの1例
○田畑 宏樹1)、千葉 和朗1)、仲程 純1)、飯塚 敏郎1)、神澤 輝実1)、高尾 幹也2)、原田 庸寛2)、冲永 裕子2)、脊山 泰治2)、堀口 慎一郎3)
1)がん・感染症センター都立駒込病院 消化器内科、2)がん・感染症センター都立駒込病院 肝胆膵外科、3)がん・感染症センター都立駒込病院 病理科
【概要】膵充実性偽乳頭状腫瘍solid pseudopapillary neoplasm(以下SPN)は,膵腫瘍の約1~3%を占める稀な腫瘍であり,若年女性の膵体尾部に好発する.今回,精巣形成不全のある男性に発生した膵尾部SPNを経験したため報告する.
【症例】50歳男性,検診USで膵腫瘤を指摘され受診した.既往に精巣形成不全を認めた.腹部CTで膵尾部に25mm大の腫瘤を認め,動脈相で不均一な弱い造影効果を示し,漸増性に濃染する.内部に石灰化はみられない.腹部MRIでT1WI低信号,T2WI高信号で内部に小嚢胞あり,拡散制限はみられない.主膵管狭窄および上流拡張はない.EUSでは境界明瞭で不均一な低エコー結節として描出され,ソナゾイド造影で周囲膵実質に比べ造影効果は弱い.FNAを施行しAcquireTM 22Gで2回穿刺した.病理診断で好酸性の細胞質を持つ小型で均一な腫瘍細胞が浮遊し,免疫染色では、Synaptophysin陽性,PgR一部陽性,β-cateninの核内集積がみられ,SPNが疑われた.MIB-1陽性細胞はみられない.膵体尾部切除術を施行し,肉眼的に28mm大の被膜構造を有する淡褐色充実性腫瘍を認め,一部に嚢胞や小出血巣がみられる.組織学的および免疫組織学的には上述と同様であり,SPNの診断とした.術後,再発なく経過している.
【討論点】①FNAで診断した25mm大のSPNで,悪性所見が疑われない症例に対し,外科的治療が妥当であったか.②精巣形成不全が発生に関与した可能性は考えられるか.
