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【症例】75歳、男性。
【主訴】自覚症状なし。
【現病歴】5年前に胃体下部大弯後壁に襞集中を伴う境界不明瞭な粘膜肥厚を指摘された。複数回の生検でも診断は得られず、定期的な内視鏡検査と腹部超音波検査で経過観察されていた。2か月前に施行されたCT検査で膵腫瘤を指摘され、当院紹介された。
【経過】造影CTで膵体部に造影効果の乏しい45×28mm大の多結節性腫瘤を認めた。超音波内視鏡検査では胃病変は第2~3層が肥厚しており、膵病変は多結節癒合状の低エコー像を呈し、duct penetrating signを伴っていた。胃と膵病変の連続性は認めなかった。胃ボーリング生検の結果、粘膜固有層間質にCD20、CD45陽性を示す異型リンパ球様細胞が浸潤し、CD21・CD23によるFollicular dendritic cell meshworkを認め、びまん性大細胞性リンパ腫(DLBCL)を含んだ濾胞性リンパ腫(FL)と診断された。膵病変からは同様の免疫染色を示したDLBCLの診断が得られた。Ki-67陽性率は胃病変が70%で膵病変は90%を示しており、高い増殖能を示していた。
【結語】FLの形質転換の頻度は年率2%程度とされているが、胃から膵への節外進展は稀であり、それが診断契機となった稀な1例を経験した。
P-19 長期経過観察中に膵腫瘤を形成した胃濾胞性リンパ腫の1例
○佐野 貴紀1)、三浦 晋1)、粂 潔1)、菊田 和弘1)、濱田 晋1)、滝川 哲也1)、遠田 幸大2)、村上 圭吾3)、小池 智幸1)、正宗 淳1)
1)東北大学大学院 医学系研究科消化器病態学分野、2)東北大学病院 病理部、3)東北大学大学院 医学系研究科病態病理学分野
【症例】75歳、男性。
【主訴】自覚症状なし。
【現病歴】5年前に胃体下部大弯後壁に襞集中を伴う境界不明瞭な粘膜肥厚を指摘された。複数回の生検でも診断は得られず、定期的な内視鏡検査と腹部超音波検査で経過観察されていた。2か月前に施行されたCT検査で膵腫瘤を指摘され、当院紹介された。
【経過】造影CTで膵体部に造影効果の乏しい45×28mm大の多結節性腫瘤を認めた。超音波内視鏡検査では胃病変は第2~3層が肥厚しており、膵病変は多結節癒合状の低エコー像を呈し、duct penetrating signを伴っていた。胃と膵病変の連続性は認めなかった。胃ボーリング生検の結果、粘膜固有層間質にCD20、CD45陽性を示す異型リンパ球様細胞が浸潤し、CD21・CD23によるFollicular dendritic cell meshworkを認め、びまん性大細胞性リンパ腫(DLBCL)を含んだ濾胞性リンパ腫(FL)と診断された。膵病変からは同様の免疫染色を示したDLBCLの診断が得られた。Ki-67陽性率は胃病変が70%で膵病変は90%を示しており、高い増殖能を示していた。
【結語】FLの形質転換の頻度は年率2%程度とされているが、胃から膵への節外進展は稀であり、それが診断契機となった稀な1例を経験した。
