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症例は60歳代男性。悪心、皮膚黄染を自覚し近医を受診、血液検査で肝障害を認め紹介となった。血液検査では、T.Bil 16.4mg/dL、CEA 7.9ng/mL、CA19-9 105.8IU/mLと上昇あり。腹部USでは、膵頭部に3cm大の壁肥厚を伴った単房性の嚢胞性腫瘤を認め、主膵管はびまん性に拡張していた。造影CTでは、嚢胞壁は軽度造影効果を呈し、内部は低吸収で造影効果は認めなかった。主膵管はびまん性に拡張(最大φ8mm)し、膵実質は萎縮していた。MRIでは、嚢胞内部はT1低信号、T2高信号、嚢胞壁はDWI高信号、ADC低値であった。主膵管は乳頭側からびまん性に拡張し、腫瘤近傍で軽度口径差を認めた。総胆管は腫瘤により偏在性に閉塞し上流胆管は拡張していた。EUSでは、嚢胞壁は低エコーで不均一に肥厚し、嚢胞内側、外側は平滑であった。ERCPでは、主膵管と嚢胞は交通しており、嚢胞内に造影剤が貯留した。遠位胆管は偏在性に圧排性に閉塞していた。膵液細胞診は、疑陽性であった。嚢胞構造を主体とした腫瘤であり、一部充実様に見えた部分もあり、嚢胞変性した膵癌やIPMC、NENなどの悪性腫瘍を考慮し、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理診断は、浸潤性膵管癌(中分化型腺癌)であり、腫瘍は充実部と共に嚢胞状構造を伴い進展していた。主膵管の一部には粘液産生性上皮もみられ、背景膵にはIPMNも伴っている可能性が考慮された。
腫瘍が嚢胞構造を呈した要因、画像的鑑別も含め議論頂きたい。
O-1 嚢胞状腫瘤を呈した浸潤性膵管癌の一例
○金谷 和哉1)、小林 陽介1)、小林 郁美1)、山田 洋介1)、木全 政晴1)、芳澤 社1)、室久 剛1)、細田 佳佐1)、山本 博崇2)、大月 寛郎3)
1)聖隷浜松病院 消化器内科、2)聖隷浜松病院 肝胆膵外科、3)聖隷浜松病院 病理診断科
症例は60歳代男性。悪心、皮膚黄染を自覚し近医を受診、血液検査で肝障害を認め紹介となった。血液検査では、T.Bil 16.4mg/dL、CEA 7.9ng/mL、CA19-9 105.8IU/mLと上昇あり。腹部USでは、膵頭部に3cm大の壁肥厚を伴った単房性の嚢胞性腫瘤を認め、主膵管はびまん性に拡張していた。造影CTでは、嚢胞壁は軽度造影効果を呈し、内部は低吸収で造影効果は認めなかった。主膵管はびまん性に拡張(最大φ8mm)し、膵実質は萎縮していた。MRIでは、嚢胞内部はT1低信号、T2高信号、嚢胞壁はDWI高信号、ADC低値であった。主膵管は乳頭側からびまん性に拡張し、腫瘤近傍で軽度口径差を認めた。総胆管は腫瘤により偏在性に閉塞し上流胆管は拡張していた。EUSでは、嚢胞壁は低エコーで不均一に肥厚し、嚢胞内側、外側は平滑であった。ERCPでは、主膵管と嚢胞は交通しており、嚢胞内に造影剤が貯留した。遠位胆管は偏在性に圧排性に閉塞していた。膵液細胞診は、疑陽性であった。嚢胞構造を主体とした腫瘤であり、一部充実様に見えた部分もあり、嚢胞変性した膵癌やIPMC、NENなどの悪性腫瘍を考慮し、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理診断は、浸潤性膵管癌(中分化型腺癌)であり、腫瘍は充実部と共に嚢胞状構造を伴い進展していた。主膵管の一部には粘液産生性上皮もみられ、背景膵にはIPMNも伴っている可能性が考慮された。
腫瘍が嚢胞構造を呈した要因、画像的鑑別も含め議論頂きたい。
