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O-10 出血を契機に発見され、膵神経内分泌腫瘍の術前診断で切除した多血性膵腫瘤の1例

○村林 桃士1)、松井 俊樹2)、上田 真理3)、矢花 正3)、奥田 裕文1)、河俣 真由1)、林 智士1)、天満 大志1)、杉本 真也1)、亀井 昭1)
1)伊勢赤十字病院 消化器内科、2)伊勢赤十字病院 外科、3)伊勢赤十字病院 病理診断科


 症例は54歳男性。突然の強い腹痛があり、他院に救急搬送され、多血性の膵尾部腫瘤からの出血と診断し、保存的加療がなされた。退院後に、治療目的で当院へ紹介となった。CTで膵外に突出するようないびつな形状の境界明瞭な約5 cm大の多血性膵尾部腫瘤があり、約4 cm大の嚢胞成分を伴っていた。また、腫瘤近傍や大動脈周囲に約1 cm大の腫大リンパ節を認めた。MRIでは、腫瘤の充実部はT1低信号、T2軽度高信号、拡散低下の所見であった。嚢胞部分はT1高信号を含む不均一な信号であった。PET-CTでは、腫瘤の充実部と腫大リンパ節に淡いFDG集積を認めた (各々、SUV max 4.1と1.9~2.5)。EUSでは、腫瘤の充実部は内部均一で境界明瞭な低エコー腫瘤で、嚢胞の内部は全てが泥状成分であり、ソナゾイド造影を行うことで充実腫瘤部と嚢胞部分が明確に区分された。腫瘤の充実部に対してEUS-FNAを行うも、異型の乏しいリンパ球浸潤や線維化のみの病理所見であり、病理学的な確定診断は得られなかった。画像所見からは、膵辺縁から発生した膵神経内分泌腫瘍を第一に考えたが、病理診断が得られなかったため、診断的治療として膵尾部切除とリンパ節郭清を施行した。最終病理診断は、hyaline vascular typeのCastleman病となった。嚢胞部分は厚い繊維性被膜で覆われた凝固壊死の所見であった。