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O-11 主膵管内進展による膵炎を契機に発見され、多発する膵内微小転移がみられたTS1膵腺房細胞癌の1例

○柳原 映美1)、兼光 梢1)、實藤 洋伸1)、村川 和也1)、黒田 太良1)、宮田 英樹1)、渡邊 常太2)
1)愛媛県立中央病院 消化器内科、2)愛媛県立中央病院 消化器外科


【症例】65歳、男性。
【経過】20XX年2月、10月急性膵炎を発症し、膵頭部腫瘍および尾側主膵管を指摘され、11月当科紹介となった。前医造影CTでは拡張した主膵管と遷延性に造影される結節を認めた。MRIでは膵実質の萎縮、主膵管の途絶、尾側膵管の拡張はあるが、拡散低下は指摘できず。EUSでは膵頭部門脈近傍に6 mm大のhypoechoic SOLがあり、その近傍の拡張した主膵管内に4 mm大の造影される結節をみとめた。PET-CTでは膵頭部に淡い不均一な集積がみられた。ERPでは主膵管の途絶、内部に4 mm程度の類円形の透亮像があり、尾側膵管は造影されなかった。狭窄部をGWで突破後、8 mm大の透亮像と尾側膵管拡張がみられた。SPACEを施行し、細胞診よりadenocarcinomaが検出された。手術まで期間があり、S1 100 mg/bodyによる治療後、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が施行された。膵頭部に膵内に限局した10×7 mmの結節があり、一部主膵管内に結節状に突出していた。腺房細胞に類似した腫瘍細胞が髄様胞巣を形成し、Bcl-10 (+)、chromogranin-A (-)、synaptophysin (-)、CK7 (-)から、腺房細胞癌と診断された。また、尾側膵に0.5-3 mm大の小結節を複数みとめ、膵内転移と診断された。転移性腫瘍と正常組織との間には、CD31、podoplaninの陽性所見はなく、脈管侵襲による客観的証拠は得られなかった。
【検討項目】膵内結節は本当に微小転移で良いのか、術前画像の評価など、議論頂きたい。