室内の明るさに合わせてページ背景の明るさを調整してください。
症例は50代女性。ドックの腹部超音波検査にて14mmの膵嚢胞を指摘され当科紹介。MRIでは膵体部に15mm大の境界明瞭な類円形腫瘤あり。T1低信号、T2軽度高信号で嚢胞よりは充実性腫瘤と考えられた。MRCPでは腫瘤に一致して膵管のわずかな圧排性狭窄を認めるが、尾側膵管の拡張は認めなかった。CTでは膵実質よりもやや強く造影される多血性の腫瘍として描出された。EUSでは境界明瞭な低エコー腫瘤として描出されソナゾイドによる造影では膵実質よりも強く造影された。典型例と比較するとやや造影が弱い印象はあるものの境界明瞭な類円形の多血性腫瘍であり膵神経内分泌腫瘍を第一に考えた。確定診断のためEUS-FNAを施行したところ、免疫染色の結果、神経内分泌腫瘍や腺房細胞癌は否定的で、αSMA陽性、h-caldesmon陽性から最終的にグロームス腫瘍と診断された。切除目的に消化器外科紹介となるも当初は手術を希望せず経過観察。しかし6ヶ月後のCTで明らかな腫瘍の増大あり、膵体尾部切除が施行された。病理では術前のFNA検体と同様の形態であったが、既往に子宮肉腫があることが判明。子宮肉腫の治療を受けた病院よりプレパラートを取り寄せ、さらに他施設に病理コンサルタントも行った結果、既往の子宮肉腫の膵転移と診断された。今回画像診断として転移性腫瘍を鑑別にあげることが可能であったか、FNA時点で子宮肉腫の情報があれば術前診断が可能であったかご教授いただきたい。
O-12 診断に苦慮した転移性膵腫瘍の1例
○塩路 和彦1)、兼古 祐輔1)、今井 径卓1)、佐野 知江1)、小林 正明1)、高野 可赴2)、野村 達也2)、川崎 隆3)
1)新潟県立がんセンター新潟病院 消化器内科、2)新潟県立がんセンター新潟病院 消化器外科、3)新潟県立がんセンター新潟病院 病理診断科
症例は50代女性。ドックの腹部超音波検査にて14mmの膵嚢胞を指摘され当科紹介。MRIでは膵体部に15mm大の境界明瞭な類円形腫瘤あり。T1低信号、T2軽度高信号で嚢胞よりは充実性腫瘤と考えられた。MRCPでは腫瘤に一致して膵管のわずかな圧排性狭窄を認めるが、尾側膵管の拡張は認めなかった。CTでは膵実質よりもやや強く造影される多血性の腫瘍として描出された。EUSでは境界明瞭な低エコー腫瘤として描出されソナゾイドによる造影では膵実質よりも強く造影された。典型例と比較するとやや造影が弱い印象はあるものの境界明瞭な類円形の多血性腫瘍であり膵神経内分泌腫瘍を第一に考えた。確定診断のためEUS-FNAを施行したところ、免疫染色の結果、神経内分泌腫瘍や腺房細胞癌は否定的で、αSMA陽性、h-caldesmon陽性から最終的にグロームス腫瘍と診断された。切除目的に消化器外科紹介となるも当初は手術を希望せず経過観察。しかし6ヶ月後のCTで明らかな腫瘍の増大あり、膵体尾部切除が施行された。病理では術前のFNA検体と同様の形態であったが、既往に子宮肉腫があることが判明。子宮肉腫の治療を受けた病院よりプレパラートを取り寄せ、さらに他施設に病理コンサルタントも行った結果、既往の子宮肉腫の膵転移と診断された。今回画像診断として転移性腫瘍を鑑別にあげることが可能であったか、FNA時点で子宮肉腫の情報があれば術前診断が可能であったかご教授いただきたい。
